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住民税の計算イメージを持つための最低限の知識をコスパよく学ぶ!

確定申告書

非常にわかりにくい住民税の仕組み。

医療保険や介護保険など行政手続きで何かと出てくる住民税にまつわる専門用語・・・

収入?所得?

知識がないと何が違うかさっぱりわかりませんよね。

この記事では、専門用語について簡単に説明したうえで、ざっくりと住民税の仕組みなどのイメージを掴んでもらうことを目的としています。

この記事でわかること

  • 「収入」や「所得」などの専門用語の意味
  • 住民税の計算方法

当記事ではざっくりとイメージを掴んでもらうことを目的としていますので、細かな点、複雑な点には触れていませんが、大半の方(年金や給与のみ)は当記事の知識だけで、自分の「源泉徴収票」や「市県民税の通知」を読み解けるはずです。

住民税は医療保険や介護保険など、他の制度の判定のベースともなっています。

必要最低限の知識をコスパよく学び、各制度を理解して損をしない人生をおくりましょう。

はじめに~学びのポイント~

説明の中で、「~円の収入があれば~円控除する」

などの「条件」を参考例として示していることがありますが、もちろん覚える必要はありません。

知識の習得に共通することですが、細かな「条件」は必要時にその都度、調べるべきことです。

「最低限の用語の意味」「考え方」「流れ」だけ覚えましょう。

それでは本題、

まずは専門用語の意味から確認していきましょう。

収入、所得、合計所得、総所得、所得控除、課税標準額という6つの用語を確認していきます。

順番に用語を理解していくと、最後には住民税計算の流れがイメージできているはずです。

一つずつ用語と考え方を確認し、最後にまとめておさらいをします。

収入とは

実際に支給されている金額です。手取りとは違います。

年金収入であれば各保険料を天引きされる前の金額。(通帳に入るのは天引き後の額)

給与収入であれば給与明細の中で税金や保険料などが引かれる前の金額。

営業や不動産収入であれば経費を引く前の売り上げに相当します。

世の中にはいろんな収入が存在しますが、次の例に示しているような、税法上定められた適切な「収入の種類」に分類されます。

収入の種類の例

営業収入、農業収入、不動産収入、利子収入、配当収入、給与収入、年金収入、譲渡収入、一時収入、その他の収入

所得とは

所得とは、収入から「所定の控除額」や「経費」などを控除した金額です。

収入-控除額(経費)=所得

混乱しやすいポイント

ここで使っている控除額というのは、後に出てくる所得控除(扶養控除や生命保険料控除など)とは別物です。控除というワードを使っていますが、収入を所得に換算するための「経費」のようなものと思ってください。

例えば、

年金収入から引くものを「公的年金等控除」
給与収入から引くものを「給与所得控除」

と呼んでいます。

収入からマイナスする控除額(経費)は、「収入の種類」ごとに収入額などに応じて算出方法が決められています。

控除額(経費)の例

年金収入


「65歳以上で収入額が330万円未満の人」であれば120万円の控除が認められています。

(計算例) 年金収入300万円-控除120万円=年金所得180万円

給与収入


「収入額が180万円以下の人」であれば65万円の控除が認められています。

(計算例) 給与収入100万円-控除65万円=給与所得35万円

実際の手取りは「所得」の額より大きいはずですが、「そのお金を得るために必要な費用もかかっているよね」という配慮から、税金を計算するうえで「収入」から所定の額を控除したものが「所得」という概念になります。

お店などを営業している場合は、確定申告で経費をあげるのでイメージが湧きやすいですね。

給与や年金の場合は、実際に経費を申告するわけではないのでイメージが難しいですが、給与収入者や年金受給者であっても、制度で決められた所定額が税金計算のうえでは控除されているということです。

合計所得とは

収入の種類が2つある人の場合、所得も2つ計算されますが、その所得の合計したものを「合計所得」と呼んでいます。

2つの収入がある人の計算例

(1)年金収入300万円-控除120万円=年金所得180万円
(2)給与収入100万円-控除65万円=給与所得35万円

(1)年金所得180万円+(2)給与所得35万円=合計所得215万円

所得の区分は税法上10種類ありますが、全て合計したものが合計所得です。

収入が1種類しかなければ、その所得金額がそのまま合計所得になります。例えば、上記計算例で(2)の給与収入しかないとすれば、所得は給与所得35万円のみなので、合計所得も35万円です。

総所得とは

総所得とは合計所得から「純損失の繰越控除額」や「雑損失の繰越控除額」を差し引いたものになります。

簡単にざっくり説明すると、各繰越控除はこういうもの

純損失の繰越控除
過去に出してしまった営業などの赤字を現在の所得と相殺する仕組み。

雑損失の繰越控除
過去に災害や盗難などの被害にあって出た損失額を現在の所得と相殺する仕組み。

計算式

合計所得-各繰越控除=総所得

赤字や被害の「損失額」が「その年の所得」よりも大きい場合、所得から差し引ききれない損失額は翌年以降に繰り越して翌年以降の所得から控除できます。

ただし、大半の方は無縁のことが多いので、そういうものがあるんだ!という理解で問題ありません。

所得控除とは

所得控除とは、個々の状況などを配慮して税金の計算上優遇してくれる仕組みです。

例えば、有名な扶養控除。これは「扶養しないといけないなら、その分お金もかかるよね」という配慮です。

障がい者控除や、医療費控除なども同じで、「障がいで働けない」「医療費がたくさんかかる」などの「個々の大変な状況」を考慮して税金の上で優遇してくれています。

生命保険料控除などは、「個人で将来に備えるという姿勢」に対し、奨励の意味での優遇です。

このように、個人の状況や政策的に、複数種類の所得控除が用意されており、要件を満たす場合は総所得から控除することができます。

計算式

総所得-所得控除=課税標準額

様々な所得控除がありますが、いまは「たくさんあるんだな~」という程度で大丈夫です。

所得控除の例

基礎控除、扶養控除、配偶者控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除、雑損控除

課税標準額と住民税

お疲れさまでした。はじまりの「収入」から、個々の状況を配慮した様々な優遇を経て、やっと「課税標準額」までたどり着きました。

この課税標準額に税率である10%をかけて住民税の計算をします。

この10%のうち、6%は市町村民税、4%は都道府県民税、ということでそれぞれ市町村と都道府県へ納税されます。

「市町村民税」と「都道府県民税」を合わせて、一般的に「住民税」と呼んでいます。

これまでのまとめ

おさらい

収入⇒所得⇒合計所得⇒総所得⇒課税標準額⇒住民税(市・県民税)

  • 「収入」から「控除額(経費)」を差し引くと「所得」
  • 「所得」を合計すると「合計所得」
  • 「合計所得」から「繰越控除」(過去の損失)を差し引くと「総所得」
  • 「総所得」から「所得控除」(個々の大変な状況への配慮等)を差し引くと「課税標準額」
  • 「課税標準額」の10%が「住民税」

いきなり収入に税率をかけるのではなく、考慮すべきものは差し引いて、課税対象となる金額を減らしたうえで、税率をかける仕組みです。

ちなみに、この計算の流れは所得税もほとんど同じです。

控除の金額などが住民税とは若干違ったりと微妙な差異はありますが、仕組みはほぼ同じなので、当記事の知識で源泉徴収票も読み解くことができるでしょう。

補足

実際の計算では収入金額に応じて、控除を算出する計算式が異なったり、端数切捨ての特殊なルール(収入を4で割って1,000円未満を切り捨て再度4をかける等)があったりするので、もう少し複雑ですが、そこまでの知識は正直必要ないと思います。

住民税や所得税については、専門用語の知識さえあれば、医療保険や介護保険など住民税をベースにした制度のこともだいたい理解できます。「専門用語の理解の手助け」と「一般常識」として、併せて計算の流れも覚えておくことをおすすめします。

住民税のポイント

最後に、住民税のポイントを何点か。

住民税は1月1日に住民票がある市町村で課税され、毎年6月くらいに税金の決定通知書が送られてきます。

計算に用いる収入は前年(1月~12月)のものを用いるため、大きな収入があった翌年は高額な税金を支払う必要があるので気をつけましょう。

例えば、30年1月に大きな臨時収入があれば、31年6月に高額な住民税が課税されます。

1年半も経ってから持っていかれるので、計画的に資金計画を立てておかないと痛い目を見るので要注意です。

以上、住民税の知識についてでした。

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