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介護保険制度

介護保険負担割合証はいつ届く?紛失手続き、判定基準、適用期間などわかりやすく徹底解説!

老人とヘルパー

 

介護保険負担割合証とは

介護サービスを利用するときに、自分が負担する割合を確認するための証です。

医療保険の場合は、病院に行ったら窓口で自己負担分を支払いますよね。現役なら3割、75歳以上の高齢者なら1割など、自己負担割合に応じてお金を払います。

介護保険でも、医療保険と同じように、介護サービスを利用すると自己負担割合に応じてお金を払う仕組みとなっています。

介護保険の負担割合は所得に応じて、1割~3割負担まであります。

介護保険負担割合証はいつ届く?

負担割合証がなかなか届かないという声が多いようですが、負担割合証は毎年7月頃に市区町村から送られてきます。

7月「頃」という表現をしたのは、市区町村ごとに発送時期が違うためです。

負担割合の新しいサイクルは8月から始まるため、必ず7月中には送られてきますが、具体的な発送時期は各市区町村の介護保険担当課へ問い合わせましょう。

負担割合が変わらなくても、毎年遅れられてきます。

紛失した場合

負担割合証は平成27年までは存在しませんでした。

今まで必要なかったのに、制度改正によっていきなり増えたものなので、何なのかも分からず、いつの間にか紛失というパターンも多いようです。

負担割合証が見当たらない場合は、市区町村の介護保険担当課へ電話すれば、すぐに再発行してくれます。

ちなみに負担割合証の見本はこんな感じです。

介護保険負担割合証

介護保険負担割合証の色は?

医療保険、介護保険、その他の制度など、高齢者には役所から様々な証が送られてきます。

種類が多く、それぞれの名称もややこしいので、よくケアマネージャーなどから「~色の証がありますか?」と言われることがあります。

役所は、わかりやすいように各証の色を変えていることが多いですが、この色使いは全国で統一されていません。

市区町村によって、どの証を何色にしているか違うので、負担割合証の色を知りたい場合は、各市区町村に確認しましょう。

適用期間はいつからいつまで?

毎年、8月から翌年7月までが負担割合証の適用期間となり、前年中の収入額等をもとに割合が決まります。

判定期間の例割合判定の仕組み

判定基準の詳細な条件は後述しますが、

例えば、住民税課税者で29年1月~12月の年金収入が420万円(合計所得に換算すると300万円)の場合は、30年8月~31年7月の期間の負担割合は3割負担になります。

29年1月~12月の年間の年金収入額が200万円で、住民税が非課税の場合は、30年8月~31年7月の期間の負担割合は1割負担になります。

負担割合は前年1年間の収入額等や住民税の課税情報をもとに決定されるので、毎年見直されます。

介護認定の期間は人よって半年~3年と異なりますが、負担割合の有効期間は全員1年間で毎年新しいものが送られてきます。

介護保険負担割合証の取得に申請はいるのか?

負担割合証を取得するために申請はいりません。

要支援、要介護、事業対象者、いずれかの認定を持っていれば、市区町村から勝手に送られてきます。

負担割合証は介護サービスを使うときに必要なものですが、介護サービスを使うためには介護の認定が必須です。

認定を受けていなかったり、有効期限が過ぎていて、そもそも「介護サービスが使えない人」には、負担割合証も送られてきません。

介護保険の負担割合証と被保険者証は必ず一緒に保管

2つセットで保管しましょう。

介護保険の被保険者証は、原則65歳になると全員に交付されます。

その内、介護の認定を受けた人だけ、被保険者証に「要支援1」や「要介護3」などの介護度が追加で印字されます。

介護度の種類

  • 事業対象者
  • 要支援1~2
  • 要介護1~5

いずれかの介護の認定を受けると負担割合証も送られてきます。

ケアマネージャーや介護サービスを提供する事業所では次の点を確認します。

被保険者証の確認ポイント】

追加印字された介護度を見て「介護サービスを使える資格」があるか

負担割合証の確認ポイント

いくらお金をもらえばいいか

サービス提供にあたって、この2点を確認する必要があるので、2枚の証は必ずセットで保管しておきましょう。

負担割合の判定基準

割合判定フローチャート
出典:厚生労働省リーフレット

厚生労働省が示している判定フローチャートです。「その他の合計所得金額」とは、給与所得や不動産所得、営業所得、譲渡所得など、年金以外の所得のこと。

少し難しいですが、「収入」と「所得」と「合計所得」の考え方が理解できれば読み解けるはずです。

「収入と所得って違うの?」という方はこちらの記事をよければどうぞ。「合計所得」や「年金収入」などの用語の意味を解説しています。

【リンク先の内容】

  • 収入や所得など専門用語の解説
  • 住民税の計算の流れ

1割負担の条件

次のいずれかに該当する人は1割負担です。

  • 住民税が非課税の人
  • 住民税は課税されているが合計所得が160万円未満の人
  • 生活保護を受給している人
  • 特定の疾病を持つ40歳以上65歳未満の人

2割負担の条件

次の条件を両方とも満たす人が2割負担です。

  1. 本人の合計所得が160万円以上220万円未満
  2. 世帯の 65 歳以上の人の「年金収入」と「年金以外の所得」の合計が「1人世帯なら280万円以上」、「2人以上の世帯なら346万円以上」

1と2の両方を満たす必要があるので、例えば、合計所得は200万円で1の条件を満たしたとしても、2人とも65歳以上のご夫婦の世帯で「2人の年金収入と年金以外の所得の合計額」が300万円で2条件を満たさない場合は、1割負担となります。

世帯員の金額が関係するのは2の条件だけで、しかも65歳以上の世帯員に限られます。世帯が同じでも65歳未満の人の金額は関係ありません。

2の条件では、「収入」と「所得」という違う概念が出てくるので要注意です。

3割負担の条件

次の条件を両方とも満たす人が3割負担です。

  1. 本人の合計所得が220万円以上
  2. 世帯の 65 歳以上の人の「年金収入」と「年金以外の所得」の合計が「1人世帯なら340万円以上」、「2人以上の世帯なら463万円以上」

考え方は2割負担と同じで、金額の条件だけが異なっています。

年度途中の割合変更

一度決まった負担割合が変更になる可能性があるのは、「世帯異動」と「税情報の修正申告」の場合のみ。

割合決定後に世帯の人員に変更があった場合

現在2割負担か3割負担の人で、65歳以上の世帯員が増えることによって世帯合計金額の観点で負担割合が安くなるケースがあります。

例えば、2割負担の条件の内の1つに次のようなものがありました。

世帯内の 65 歳以上の人の「年金収入」と「年金以外の所得」の合計額が、

「1人世帯なら280万円以上」

「2人以上の世帯なら346万円以上」

もともと1人世帯で「年金収入」と「年金以外の所得」の合計額が300万円で2割負担だった場合でも、新たに収入のない世帯員を増やして、2人の合計額が346万円未満となれば、2割から1割負担へ変更となります。

逆に、65歳以上の世帯員が減ることによって負担割合が高くなるケースもあります。

1割から2割負担に変更となる例として、高齢者夫婦の2人世帯で「年金収入」と「年金以外の所得」の2人の合計が346万円未満で1割負担だった人が、世帯員が亡くなることで、1人世帯になったときに280万円以上となるなら2割負担に変更となります。

このように世帯員の金額を加味すると、要件を満たしたり満たさなくなったりするケースで、世帯員に異動があった場合は、翌月から負担割合が変更となります。

割合決定後に住民税の修正をした場合

申告により、住民税が課税から非課税に変わる場合、またはその逆などにより割合変更となる場合は、8月まで遡って割合が変更となります。

事例

月の総額が10,000円だったケース

1割⇒2割の場合

すでに支払った費用に加えて追加分を支払うことになります。すでに1,000円払っていても、もう1,000円追加で払います。

2割⇒1割の場合

すでに支払った費用の一部が返ってきます。2,000円払っていた費用のうち1,000円が返ってきます。

8月まで遡るということは、例えば、負担割合証の交付からだいぶ期間が過ぎてから修正申告をして、8月~翌年5月分をすでに支払っているような場合は、上記計算例の10ヵ月分の金額の調整が必要ということになります。

いつから負担割合制度ができた?

平成12年にスタートした介護保険制度は、長らく負担割合は全員一律で、どれだけお金があっても、どれだけお金がなくても(生活保護除く)、全員が1割負担でした。

平成27年8月からは、2025年問題を見据え、一定の所得がある人は2割負担となるように、そして平成30年8月からは現役並みの所得がある人は3割負担となるように制度改正されました。

2025年問題とは

団塊の世代が75歳を迎える2025年。人口に占める高齢者の割合が増えていくことで、介護や医療など社会保険制度の費用が増大し、財政を圧迫する問題です。

厚生労働相が平成30年度に公表している「公的介護保険制度の現状と今後の役割」という資料によると、高齢者の推計は次のとおり

2020年 2025年 2055年
65歳以上 3,619万人(28.9%) 3,677万人(30.0%) 3,704万人(38.0%)
75歳以上 1,872万人(14.9%) 2,180万人(17.8%) 2,446万人(25.1%)

2025人には約3人に1人が65歳以上の高齢者、約6人に1人が75歳以上の後期高齢者となる推計です。

今の65歳は、まだまだ若いですが、やはり75歳を過ぎてくると身体に不調をきたす方も多くなってきます。

2055年には、日本の4人に1人が75歳以上という恐ろしい推計が出ているので、厚生労働省では現在様々な負担の引き上げを行なっています。

最後に

いかがでしたでしょうか。いま介護保険は持続可能な制度とするために、利用者にとっては負担が増える制度改正が相次いでいます。

将来的にも安心して介護を受けられるような制度設計は必要ですが、もともと複雑な制度がどんどん改正されて、利用者が置き去りになっている感もあります。

利用者側も、知らないことで損をしないように、始めはざっくりでもいいので知識を蓄え、無駄な費用を払わないように気を付けましょう。

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