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過誤申立とは?同月過誤と通常過誤の違いをわかりやすく解説

同月過誤と通常過誤の違い一覧表

同月過誤と通常過誤の違いを表にまとめたものです。以下で、過誤の仕組みや同月過誤と通常過誤の特徴を詳細に解説していきます。

過誤申立の仕組み

過誤申立とは、国保連へ送付済みの介護保険給付費請求データの取り下げを求める行為です。言い換えると、受け取った給付費を保険者に返還する行為とも言えます。

間違った内容で給付費の請求をしてしまい、返戻とならずに請求が通ってしまった場合は過誤申立が必要です。

例えば、「正しい金額が1,000単位のところを誤って1,500単位で請求してしまった」という給付を受け取り過ぎの場合は、過誤申立で1,500単位の請求を取り下げたうえで、1,000単位を再請求します。

逆に「正しい金額が1,000単位のところを誤って500単位で請求してしまった」という給付費が少なかった場合も、いったん過誤申立で500単位の請求を取り下げたうえで、1,000単位を再請求します。

過誤申立をせずに、不足の500単位を請求をしてしまうと既に請求済みということで返戻になってしまいます。

過誤申立はあくまで請求を「取り消すだけ」の行為なので、併せて再請求を行うことで初めてが修正が可能となります。

同月過誤と通常過誤の最大の違い

過誤申立には、同月過誤と通常過誤の2種類があり、それぞれの過誤申立には違いや特徴がありますが、最大の違いは「間違った請求」と「正しい請求」の相殺ができるかどうかです。

同月過誤では相殺が可能で、通常過誤では相殺ができません。

といっても、同月過誤も通常過誤も、実はやっていることは同じで、どちらも請求を取り下げるだけの行為なんです。違うのは取り下げのタイミングだけ。

しかし、このタイミングの違いが重要で「相殺できるか」という点に繋がります。なぜこのような相殺ができるのか、それぞれの過誤申立の特徴を確認してみましょう。

同月過誤とは

同月過誤とは「国保連での過誤処理」と「事業所の再請求処理」を同月に行う方法です。

国保連で取り下げと再請求を同じ月に処理することから同月過誤という名称になっており、この同月処理のおかげで相殺ができる仕組みになっています。再請求のタイミングを間違えてしまうと同月過誤のメリットである相殺ができなくなるので注意です。

同月過誤は、相殺が可能なことから、大量の過誤や、高額な給付費の取り下げに向いています。保険者によっては指導、監査等で大量の過誤が発生したときのみ同月過誤の申立ができるというルールで運用しているところもあります。

再請求をするタイミングでは過誤の決定通知が国保連から届かないので、再請求のタイミングを自分で覚えておく必要があるので唯一のデメリットともいえます。

同月過誤の流れ

わかりやすくするために、4月に過誤申立書を保険者に提出するという例で、同月過誤の流れを確認しましょう。

step
1
保険者に同月過誤の申立書を提出(4月)

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2
保険者から国保連へ同月過誤のデータを提供(5月月初)

step
3
事業所の再請求(5月10日)

step
4
国保連で過誤処理と請求審査(5月)

順番に解説していきます。

(1)過誤申立書の提出

請求内容の誤りに気付いた場合は、まずは保険者に過誤申立書を提出します。同月過誤は月末が締切になっていることが多いので4月の末までに提出しましょう。保険者によっては月末の数日前に締切を設定していることもあるので、月末付近の提出の場合は締切を要確認です。

4月の締切日に同月過誤の提出が間に合えば、5月審査(5月10日までの請求)で再請求が可能です。

(2)保険者から国保連へ

4月中(4月の締切日まで)に受け付けた同月過誤の情報を保険者がとりまとめ、5月のはじめに国保連へ送付します。5月早々にデータを送付してしまうため、4月末の締切日を過ぎると基本的に追加で受け付けてくれることはありません。

(3)再請求

5月の月初に過誤の決定通知は届かないので、再請求を忘れないように注意が必要です。再請求を忘れてしまうと同月過誤の利点である相殺ができなくなるので必ず忘れないようにしましょう。

(4)過誤処理と請求の審査

国保連の5月審査で過誤処理と再請求の審査が行われます。

なぜ相殺ができるのか?

まずは、過誤と請求に伴う介護給付費のルールを確認しましょう。

給付に関するルール

  • 過誤処理の翌月に給付費の返
  • 請求の翌月に給付費の振り込み

ともに5月審査で(同月に)処理されるのが相殺のポイントです。

例えば、誤って通った請求が500単位、正しい単位が800単位の場合とします。4月に過誤申立書を提出すると国保連での過誤処理は5月になります。その場合、事業所の再請求も5月になります。上記で紹介した給付費のルールに従うと、6月末に「500単位分の給付費の返還」と「800単位分の給付費の振り込み」が行われるので、結果的に相殺となり、表面上300単位分の報酬が追加で支払われたように見えるのです。

通常過誤とは

通常過誤とは「国保連での過誤処理」をした翌月に「事業所の再請求処理」を行う方法です。

もう説明は不要かと思いますが、通常過誤では、過誤と再請求の処理月がずれるので給付費の相殺はできません。

また、当月審査で請求したばかりのものは、通常過誤では取り下げできないこともデメリットといえるでしょう。この点については後述します。

通常過誤には相殺などのメリットはありませんが、国保連から過誤決定通知を受け取ってから請求できるので、再請求忘れが起こりにくいというメリットもあります。

通常過誤が原則的な過誤方法となります。保険者によっては、同月過誤と通常過誤を自由に選べるところもありますが、同月過誤のところでも書いたように、特殊な理由がないと同月過誤を選択できない保険者も存在します。

通常過誤の流れ

同月過誤のときと同様に、4月に過誤申立書を保険者に提出するという例で、通常過誤の流れを確認しましょう。

step
1
保険者に通常過誤の申立書を提出(4月中旬まで)

step
2
保険者から国保連へ同月過誤のデータを提供(4月中頃)

step
3
国保連で過誤処理(4月下旬)

step
4
事業所の再請求(5月10日)

(1)過誤申立書の提出

通常過誤の締切日は毎月中旬。4月15日前後に締切日を設定している保険者が多いので、それまでに提出します。

4月中旬の締切に間に合えば、5月審査で再請求が可能ですが、4月の締切に間に合わなければ、翌月へ繰越となるので、再請求は6月審査にずれ込むことになります。

(2)保険者から国保連へ

4月の中旬までに受け付けた通常過誤の情報を保険者がとりまとめ、4月20日頃に国保連へ送付します。

(3)過誤処理

国保連で4月下旬に過誤処理が行われます。過誤が決定したものは国保連から過誤の決定通知が届きます。

(4)再請求

過誤の決定通知を確認し、5月10日までに再請求を行います。

当月審査分は通常過誤では取り下げできない

先にも触れた通常過誤のデメリットの一つです。例えば、4月10日に請求をあげたものは4月締切の通常過誤では処理できません。過誤とは国保連の審査で決定済みのものを取り下げる処理だからです。

4月10日の請求が決定となるのは4月の月末。4月中旬締切の通常過誤は下旬に保険者から国保連へ送付され、国保連
で過誤処理が行われますが、その時点では4月10日の審査情報はまだ決定していないのです。

この点、同月過誤であれば、4月に保険者に提出した過誤情報は5月に国保連へ送付され5月に処理されます。すなわち、4月の月末に決定する4月審査の請求でも取り下げることができます。

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