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【返戻】介護保険を国保連へ請求したときのエラー対応完全マニュアル

介護保険給付費を国保連合会へ請求したときに、請求が「返戻」扱いとなり、給付費が支払われない場合があります。

返戻とは、

  • 事業所からの請求情報
  • 国保連の保有する台帳情報

この2つの情報を突合させた結果が一致しないことが主な原因で、

国保連

「情報が何かおかしいから請求を差し戻すね」

という国保連からのメッセージです。

このままでは給付費が振り込まれないので、返戻事由を確認し、問題を解決してから再請求をすることになります。

この記事では、よくある返戻事由とその対応方法を介護事業所向けにまとめました。

国保連での審査支払の仕組み

国保連では、主に次の4つのデータを突合させて介護給付費の審査支払を行っています。

  1. 給付管理票 (ケアマネが提出)
  2. 請求情報 (事業所が提出)
  3. 受給者台帳 (保険者が提出)
  4. 事業所台帳 (都道府県などが提出)

※ただし施設系の場合は給付管理票はない

この4つのデータの間で情報が違ったりすると返戻になります。 例えば、給付管理票に書いてある事業所番号が間違っていて事業所台帳に登録されている事業所番号と一致しない場合などです。

用語の確認もしておきましょう。

受給者台帳とは

被保険者に関する情報が登録されている台帳です。被保険者が認定を受けると作成されます。

受給者台帳の内容

  • 要介護度や有効期間などの認定情報
  • 担当の居宅介護支援(包括)情報
  • 負担割合情報
  • 負担限度額や社福減免などの軽減対象情報
  • 住所地特例情報 など

事業所台帳とは

事業所に関する情報が登録されている台帳です。都道府県や市区町村から事業所指定を受けると登録されます。

事業所台帳の内容

  • 事業所番号
  • 指定事業所、基準該当、地域密着、総合事業などの区分
  • 事業所のサービス種類に関する情報 など

以上を踏まえて、返戻の対応方法について確認していきます。

返戻になったらまずはエラーコードを確認

返戻一覧表

国保連の審査で返戻となった場合は、返戻一覧表が送られてきます。

正式名称は「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」というもの。一覧表の右端に「備考」欄があり、ここに一番重要なエラーコードが書かれています。

エラーコードとは、返戻となった理由ごとに設定されているコードで、これが分からないと問題の特定ができません。保険者に台帳情報を確認する場合にも、これがないと話が進まないので必ず確認しましょう。

事由の欄もチェック

「事由」欄でも問題を特定できる可能性があるので、必ず確認しておきましょう。

事由がアルファベットで表示されており、それぞれの意味は次の通りです。

返戻事由Aの意味

データ内容や入力誤りなどを確認する「一次チェック」という審査でエラーになると表示されます。

請求情報内の必須項目の入力間違いのほか、保険者の台帳情報に問題がある場合もあります。

内容欄と合わせて確認すると問題を特定できる場合もありますが、基本的にはエラーコードを基に問題を特定していくことになります。

返戻事由Bの意味

「請求情報または給付管理表」と「受給者台帳、事業所台帳」を突合する「資格チェック」という審査の結果、情報の不一致があった場合に表示されます。

そのほか、過去に既に請求済みで二重請求扱いとなったものや、有効な給付管理表がないのに給付管理表を修正をした場合なども事由Bとなります。

エラーパターンが多すぎて、事由Bというだけで問題を特定するのは難しいでしょう。エラーコードなども見ながら問題を特定していくことになります。

返戻事由Cの意味

「事業所の請求情報」と「ケアマネの給付管理表」が一致しなかった場合に表示されます。

この場合、エラーコードは返戻か保留となります。

返戻事由Dの意味

給付管理表がないのにサービス計画費を請求した場合に表示されます。

請求誤りでなければ給付管理表を提出しましょう。

種別と内容の欄もチェック

種別の欄


何が返戻になったのかが分かります。

請:請求明細書(サービス計画費除く)
サ:サービス計画費
給:給付管理票
ケ:ケアマネジメント費請求明細書(総合事業の計画費)

内容の欄


返戻の理由が簡単に書かれているので参考にしましょう。簡単すぎて原因の特定には至らないことが多いですが、ヒントになります。

それでは各エラーコードの主な原因について確認していきましょう。

12PAのエラー理由と対応方法

区分変更中など、利用月の被保険者の要介護度が確定していない段階で請求してしまうと、12PAのエラーになります。

主な理由

  1. 区分変更中であることを忘れて請求してしまった
  2. 保険者の受給者台帳の情報がおかしい
  3. 認定結果は出ているが保険者が国保連へ情報を送れていない

一番多いケースは(3)です。

保険者が審査月に国保連合会へ送っている情報は、審査月の前月中に認定結果が出たものだけです。

認定年月日が4月中のものを、まとめて5月の頭に国保連合会へ送付しているのです。

5月1日が認定年月日で、5月10日までに新しい被保険者証が手元に届いているような場合は、なんとなく請求できそう な気がしますが、5月の認定年月日の受給者台帳情報は6月に国保連へ送付されるため、「認定変更が未決定」ということで12PAのエラーとなります。

12PAの対応方法


(1)と(3)の理由に該当しないか、まずは再確認。

(3)は1月待つしかありません。

おかしいところがなければ、(2)を疑い保険者へ連絡しましょう。

12P4と12P5のエラー理由と対応方法

居宅介護支援事業所(または包括)が保険者に提出した「居宅サービス計画作成依頼届出書」の情報と、請求した居宅介護支援事業所が一致しない場合に12P4と12P5のエラーになります。

12P4は計画費の請求に対して、12P5は給付管理票の提出に対してのエラーですが、理由は同じです。

主な理由

  1. 給付管理票や請求明細書の事業者番号が間違っている
  2. 別の居宅が情報を更新してしまっている
  3. 提出した「居宅サービス計画作成依頼届出書」情報が国保連合会に送られていない

(1)は単純ミスですね。

(2)について、A事業所からB事業所に5月に居宅が変更となる予定の場合に、ケアマネ間の連携ができておらず、B事業所が誤って4月中の開始年月日を記入して「居宅サービス計画作成依頼届出書」を出してしまった場合などです。

(3)は情報の送付が間に合っていません。提出された「居宅サービス計画作成依頼届出書」に書いてある居宅の情報は、受給者台帳情報として、保険者から国保連合会へ送付されます。基本的に審査月に送る情報は前月受付の情報です。例えば5月3日に「居宅サービス計画作成依頼届出書」を保険者へ提出しても、その情報が国保連へ送付されるのは6月の頭なので、5月審査で請求すると12P4と12P5のエラーになります。

また、保険者の運用によって受付の締切日を月末より前倒ししている場合があります。月末付近に提出する場合は、翌月審査に間に合うかを保険者へ確認しましょう。

12P4と12P5の対応方法


ますは(1)の記載誤りがないか確認しましょう。

(2)のように事業所変更がある場合は後任居宅か保険者へ連絡し、後任の「開始年月日」がいつなのか確認しましょう。

保険者によっては開始年月日の遡りを認めているところもあるようです。いつ提出したかは関係なく「開始年月日」がすべてです。

開始年月日が間違っている場合は、保険者に日付の修正を依頼します。

(3)の場合は1月待ちましょう。

ADD0とADD1のエラー理由と対応方法

「給付管理表や請求情報」と「事業所台帳」との内容の不一致がエラー理由です。

ADD0は事業所台帳へ登録されていない、ADD1は登録されているがサービス種類が違います(ヘルプでしか登録されていないのにデイで請求など)。

国保連では、「給付管理票や請求情報」の中の「事業所番号」や「サービス種類」などが、「事業所台帳」の内容と一致するかを確認しています。

復習なりますが、事業所台帳には保険者等から指定を受けた事業所の情報が載っています。

主な理由

  1. 給付管理票に記載の事業所番号やサービス種類が間違っている
  2. 請求明細欄の記載場所が間違っている

(1)は給付管理票への入力ミスのほかに、法人変更などにより事業所番号が変更になっていることも考えられます。

(2)はサービス事業所の請求情報の話ですが、総合事業が開始されてから多いのが、住所地特例が絡んでADD0やADD1のエラーが出るケースです。

請求明細情報の中の「給付費明細欄」(サービスコードや単位数を入力する所)には、住所地特例者専用の欄があるのをご存知でしょうか?

住所地特例対象者であるにも関わらず、普通の「給付費明細欄」に入力している場合は返戻となる可能性があります。

これは、住所地特例者は施設所在地の総合事業を利用するというルールに起因します。

例えば、A市の被保険者であるYさんは、B市の住所地特例施設であるサービス付き高齢者向け住宅に住み、T事業所から総合事業の提供を受けます。このときYさんが使う総合事業はB市の総合事業です。総合事業とは市の独自事業なので、内容に差がなくてもA市総合事業とB市総合事業は別のサービスなのです。

T事業所はB市総合事業を提供できる事業所として、B市から指定を受け、B市の事業所台帳には登録されています。A市からは総合事業の指定を受けていません(受ける必要がありません)。

そして、請求をするときは、T事業所はYさんに対しB市総合事業を提供した報酬を、Yさんの保険者であるA市に対して請求することになるのですが、このときに普通の「給付費明細欄」に記載をすると、国保連はA市の事業所台帳を確認することになり「台帳に登録されていないぞ(A市から指定なし)」ということで返戻になります。

正しく「給付費明細欄(住所地特例対象者)」という欄に記載がされていれば、国保連はB市の事業所台帳を確認するので、台帳情報と一致し、返戻にはならないという仕組みです。

給付サービスの場合は、指定効力が全国に及ぶので住所地特例が理由でのエラーは多くありませんでしたが、総合事業が始まってからADD0とADD1が急増しています。

ADD0とADD1の対応方法


返戻になっているのが給付管理票の場合は、記載ミスがないか確認しましょう。記載している事業所が事業所番号を取得したばかりであれば、保険者から国保連へ台帳情報が遅れていない可能性もあります。ミスがなければ保険者へ確認してみましょう。

返戻になっているのが請求情報の場合は、まず住所地特例者ではないか確認しましょう。住所地特例者の場合は、「給付費明細欄(住所地特例対象者)」という専用欄へ記載できているか確認しましょう。

いずれも問題ない場合は、保険者へ確認してみましょう。

AEFOとAEFBのエラー理由と対応方法

その月の受給可能日数以上に請求した場合にAEFOとAEFBのエラーとなります。

AEFBはサービス種類が貸与のときに出るエラーで内容に違いはありません。

保険者が作成する受給者台帳には、認定の有効開始期間や資格取得日(転入など)、資格喪失日(死亡や転出など)の情報があり、そこから被保険者がその月に何日分の受給ができるか計算しています。

その月に14日しか受給できないのに、15日以上で請求をあげるとAEFOやAEFBになるのです。

よくある間違いは、転出入が関わるときです。

例えば、T事業所がYさんにサービス提供しているとします。Yさんは4月15日にA市からB市に引っ越して、15日からはB市の被保険者になります。15日の朝にT事業所がサービス提供していた場合は、B市へ1日分の請求をすることになります。

上の例では、T事業所はA市に14日分、B市に1日分の請求するのですが、誤ってA市に15日分の請求をあげてしまうと、日数超過でAEFOやAEFBの返戻となります。

AEFOとAEFBの対応方法


請求明細情報の中の「給付費明細欄」の中の「回数」の項目と、「請求額集計欄」の「サービス実日数」の項目を確認しましょう。ここの日数と受給者台帳を国保連ではチェックしています。

日数に誤りがなければ、知らない間に資格異動がなかったか確認しましょう。

実際に住んでいる住所と住民票が一致していなかった人が、住民票を実態に合わせて異動させると、外形上は何も変わっていないのに資格だけが変更になっていることが可能性としてありえます。

12PCのエラー理由と対応方法

負担限度額に関する情報が間違っている場合に12PCのエラーとなります。

12PCのエラーと同時に、先に紹介したAEFOのエラーが出ることがありますが、AEFOの単独エラーでなければ、12PCが解決されると同時にAEFOも解消される可能性が高いです。

主な理由

  1. 負担限度額認定申請をしていない
  2. 負担限度額認定されているが期間や金額に誤りがある

12PCの対応方法


被保険者の持つ「負担限度額認定証」と請求情報の内容に誤りがないか確認しましょう。

世帯変更や税更生により、年度途中で負担限度額認定情報が変更になっている場合もあるので、原因不明な場合は、保険者へ連絡しましょう。国保連では内容確認ができません。

12SAとASSAのエラー理由と対応方法

「請求情報」と「受給者台帳」の給付率が異なる状態です。

12SAが給付率の相違です。12SAが出た場合は、連動して保険請求額や利用者負担額などの計算値もおかしくなることが一般的なので、連動して「計算値超過」のASSAが付いてくることが多いです。

主な理由

  1. 負担割合証と異なる給付率で請求している
  2. 利用料減免を受けている

(1)は負担割合証ができた平成27年8月以降に見られるエラーです。例えば、3割負担の人に対して、給付率80%で請求情報を作成すると12SAとASSAのエラーになります。

負担割合の見直し時期である8月に、負担割合証を確認し忘れて(1)に該当するパターンが多いです。

(2)は特別な理由で、保険者が給付率を上げて助成をしている場合があります。例えば台風や地震などの災害にあった人や失業した人など、市区町村の減免要件に該当した場合は、95%や93%給付といった特殊な給付率の方が存在します。

12SAとASSAの対応方法


まずは(1)の間違いがないか負担割合証を確認しましょう。世帯変更や税更生で負担割合が年度途中で変更になっている可能性もあるので、理由がわからなければ保険者へ確認しましょう。

(2)の場合は、該当していれば「利用料の減額免除に関する証明書」を必ず保険者から交付されているはずなので、被保険者に確認してみましょう。わからなければこれも保険者へ確認してみましょう。

保留の理由と対応方法

備考欄に「保留」と書かれている場合は、ケアマネから給付管理票が提出されていない、または、提出した給付管理表が返戻になっている状態を表します。

どのみち、ケアマネに給付管理表の提出を依頼しましょう。

給付管理表が保留期間中に提出されれば、事業所の再請求は不要で、待っているだけで給付費が振り込まれます。

国保連で保留してくれる期間は、1ヶ月~2ヶ月だけで、国保連により期間に差があります。

保留期間を過ぎても給付管理表の提出がない場合は、返戻となるので、再度請求を行う必要があります。

返戻の理由と対応方法

備考欄に「返戻」と書かれている場合は、請求情報と給付管理表の内容に不一致があり、かつ、負担限度の利用があったり、サービス提供体制強化加算などの限度額管理外の加算を含むケースです。

不一致の主な原因

  1. 給付管理表に請求事業所情報が載っていない
  2. 給付管理表に載っているが事業所番号やサービス種類が間違っている

返戻の対応方法


いずれにせよ、給付管理表と情報を一致させる必要があるのでケアマネに連絡し、記載内容に誤りがないか確認しましょう。

もし給付管理表の方に誤りがあったとしても、請求が返戻になっている以上、事業所は再請求する必要があるのでお忘れなく。

原因がどうしてもわからない場合は国保連へ問い合わせましょう。保険者へ連絡しても市区町村で審査をしているわけではないので、原因を特定できる可能性は低いでしょう。

最後に

いかがでしたか?

複雑なケースもありますが、返戻には必ず理由があります。

いきなり保険者や国保連に連絡をしても、話が進展しなかったり、たらい回しにされる場合もあるので、ある程度調べたうえで不明な点を確認するのが近道です。

最低でもエラーコード、返戻になったのは給付管理票なのか請求情報なのか、何月審査で返戻になったのか、くらいの情報はまとめてから問い合わせをする方が無難です。

スムーズな保険請求のためにも、請求情報、給付管理票、台帳のどこに問題がありそうなのかを意識して、返戻理由を確認していきましょう。

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