「X9400S」と「X8900K」は、2021年に発売された東芝REGZAの4K有機ELテレビ。
両モデルの関係は、機能が異なる上位・下位モデルの関係です。
- X9400S:最上位モデル
- X8900K:下位モデル
当記事では、両モデルの機能の違いだけでなく、両モデルの価格も比較することで、今のおすすめモデルを検証します。
REGZA「X9400S」と「X8900K」の違いを比較
「X9400S」と「X8900K」の機能的な違いは、主に以下の5つです。
X9400S | X8900K | |
---|---|---|
タイムシフトマシン機能 | 搭載 | なし |
映像エンジン | ダブルレグザエンジンCloudPRO | レグザエンジンZRⅠ |
AndroidTV OS | なし | 搭載 |
HDMI2.1 サポート機能 | ALLM | ALLM 4K120P VRR eARC |
Dolby Atmos | 非対応 | 対応 |
上表を眺めると、最上位モデル「X9400S」が一律に優れるわけではないことを何となくイメージできると思います。
両モデルは性能の上位・下位というだけの単純な関係にはなく、特徴が異なり棲み分けされています。つまり、テレビに対して何を求めるかで最適なモデルが変わってきます。
タイムシフトマシン機能の有無
引用:東芝公式
最上位モデル「X9400S」は、下位モデルにはないタイムシフトマシン機能を搭載しています。
- X9400S:搭載
- X8900K:非搭載
タイムシフトマシン機能とは、わざわざ録画予約をしなくても、最大6チャンネルの地上デジタル放送の全番組を、本体に接続した外付けHDD(別売)に丸ごと自動録画する機能。
当機能を活用すれば、録画予約から開放され、見たい番組を見たいタイミングでいつでも視聴できるようになります。
なお、タイムシフトマシンで最大6チャンネル録画した場合の、HDD容量別の録画時間の目安は次のとおり。
6TB | 約120時間(約5日間) |
---|---|
4TB | 約80時間(約3.3日間) |
2TB | 約40時間(約1.7日間) |
次のような方には、便利な「タイムシフトマシン」機能が搭載された上位モデルの「X9400S」がおすすめです。
- 録画予約を忘れがち
- 番組の見逃しが多い
- 忙しくて見たい番組の放送時間に帰宅が間に合わない
映像処理能力・高画質化機能の違い
両モデルは、映像処理の心臓部とも言える映像エンジンが異なります。
- X9400S:ダブルレグザエンジン Cloud PRO
- X8900K:レグザエンジンZR Ⅰ
「X9400S」に搭載される映像エンジン「ダブルレグザエンジンCloud PRO」は、この5年間スペックはそのままに画質処理をアップデートしてきた映像エンジンです。
対して、下位モデル「X8900K」には、5年振りとなる新型映像エンジン「レグザエンジンZR Ⅰ(ゼットアールワン)」が搭載されました。
「レグザエンジンZR Ⅰ」は、性能や処理速度を大幅に高めた新型エンジンで、最上位モデルにも劣らない基本性能の高さが伺えます。
ただし、個々の高画質化機能の仕様を比べると、最上位モデル「X9400S」に搭載される機能の方が、全体的に優れています。
広色域復元 | カラーイメージ コントロール | HDR高画質 | 倍速制御 | |
---|---|---|---|---|
X9400S (上位モデル) | 広色域復元PRO | 64色軸制御 | AI HDRオプティマイザー | 4K OLEDクリアダイレクト モーションクリアスムーズ |
X8900K (下位モデル) | 広色域復元 | 36色軸制御 | HDRオプティマイザー | 4K倍速パネル |
上表の4機能は、色や輝度の表現、動きの速いシーンのなめらかな再現性などを向上させる機能群ですが、高画質化機能はいずれも上位モデル「X9400S」の方が優れます。
Android TV OSの搭載の有無
下位モデル「X8900K」は、東芝のテレビとしては初めての「Android TV OS」を採用。
「Android TV OS」は、スマホでお馴染みのOS「Android」をベースとしたテレビ用OSで、スマホのように「Google Playストア」からアプリをダウンロード可能。
動画配信アプリはもちろん、例えば、音楽アプリ「Spotify」で音楽を聞いたり、ゲームアプリをテレビ画面で遊んだりと、スマホ感覚で様々なアプリを楽しめるのが魅力です。
TV用OSとは?
アプリなどの管理・操作のベースとなるシステムのこと。
最近のテレビは、動画配信サービスを含むネット・アプリ操作などを快適に行えるようTV用OSを搭載したものも多く、スマートテレビとも呼ばれる。
一方の上位モデル「X9400S」は、「Android TV OS」ではなく独自OSを搭載。「Google Playストア」からアプリのダウンロード等はできないものの、一部の動画配信サービスに対応しています。
モデル (OS) | Netflix | Prime Video | Disney+ | net.TV | YouTube | TVer | Paravi | TELASA | FOD | dTV | ABEMA | U-NEXT | Hulu | TSUTAYA TV | DMM.com | DAZN | SPOOX | Rakuten TV | GYAO | クランクインビデオ | BANDAI CHANNEL | ひかりTV4K |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
X9400S (独自OS) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | × | ◯ |
X8900K (Android TV OS) | × | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
下位モデル「X8900K」は民放系の「TVer」「TELASA」などに対応する一方、「Netflix」は非対応。
「Netflix」を視聴する場合は、「Google Chromecast」や「Amazon Fire TV Stick」のようなHDMIスティック型のメディアプレイヤーが必要です。
様々なアプリをテレビで楽しみたい方や、Netflix会員でない場合は、下位モデル「X8900K」の方が適しているかもしれません。
HDMIサポート対応の違い
「X9400S」と「X8900K」は、両モデルとも「有機EL瞬速ゲームモード」「ALLM」に対応し、ストレスなく遊べるスペックを有していますが、
さらに、下位モデル「X8900K」では、ゲームに役立つHDMI2.1規格の多くの機能をサポートしているので、PlayStation5やXbox SeriesXなどの最新ゲーム機にもおすすめです。
X9400S | X8900K | |
---|---|---|
有機EL 瞬速ゲームモード | ◯ | ◯ |
ALLM対応 | ◯ | ◯ |
4K入力対応 | 4K60P | 4K120P |
VRR対応 | × | ◯ |
eARC対応 | × | ◯ |
- ALLM対応(操作不要で低遅延モードに自動切替)
- 4K120P入力対応(4K画質1秒120コマの映像に対応)
- VRR対応(可変フレームレートで遅延・角つきを軽減)
- eARC対応(Dolby Atmos等の3次元音響も伝送可能)
そのほか、下位モデル「X8900K」では、1080p/120Hz入力時には、約0.83msec(0.00083秒)という低遅延を実現するのもポイント(ただし1080p/60Hz、1440p/60Hz、4K/60Hz入力時の遅延は約9.2msec)。
上位モデル「X9400S」でも快適にゲームで遊べますが、HDMI2.1に対応している下位モデル「X8900K」の方が、ハイフレームレートの最新ゲームを遊ぶには適している印象です。
音響性能の違い
下位モデル「X8900K」は新たに「Dolby Atomos」に対応しました。
「Dolby Atomos」とは、3次元サラウンドシステムのこと。水平方向のみならず上下方向の音も加わり、音に包まれるような音響を実現するほか、映像の内のモノ(人や車など)に音+位置情報を付加し、臨場感を演出します。
引用:東芝公式
一方、上位モデル「X9400S」は、合計10個のスピーカーを搭載し、その総合出力は142Wにもなります。
「Dolby Atomos」に対応してないものの、6スピーカー72Wの下位モデルに比べ、より明瞭な高音と迫力ある重低音を響かせるのが魅力です。
「X9400S」と「X8900K」の価格の比較
以上、「X9400S」と「X8900K」の主な機能の違いを紹介してきました。ここからは両モデルの価格を比べ、おすすめモデルを検証します。
両モデルとも、48インチ、55インチ、65インチの3サイズ展開となっているので、各モデルのサイズごとの価格帯の目安を比較してみましょう。
X9400Sの価格
2021年4月発売の最上位モデル「X9400S」は、発売から1年半以上が経過し、価格はかなり落ち着いてきた印象です。
2022年11月時点の価格目安
- 48インチ:17万円~
- 55インチ:20万円~
- 65インチ:27万円~
X8900Kの価格
一方、2021年6月発売の下位モデル「X8900K」も、発売時に比べて大きく価格を下げています。
同サイズで、最上位モデル「X9400S」と比較してみると、約4~5万円程度は「X8900K」の方が安くなっており割安に感じます。
2022年11月時点の価格目安
- 48インチ:13万円~
- 55インチ:16万円~
- 65インチ:22万円~
【結論】「X9400S」と「X8900K」はどっちがおすすめ?
「X9400S」と「X8900K」は、上位モデル・下位モデルという関係性ではあるものの、両モデルとも特徴が異なり、棲み分けができている印象。
どちらにも優れたポイントがあり、用途や機能で選ぶのが正解と言えそうです。
X9400S | ・地上波・BS放送などの視聴中心 ・番組を録画することが多い ・見逃しや録画漏れが多い ・スペックにこだわりたい ・Netflix会員 |
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X8900K | ・コスパ重視 ・動画配信サービスの視聴が多い ・様々なアプリをテレビ画面で楽しみたい ・最新ゲーム機で快適に遊びたい |
個人的には、タイムシフトマシン機能を必要としていない方は下位モデル「X8900K」がおすすめ。
理由は、最上位モデルに引けを取らない性能を持ちつつ、アプリで自分好みにカスタマイズできる自由度があり、かつ多機能。比較的価格が安くコスパが高いと感じるためです。
反対に「絶対にタイムシフトマシン機能が欲しい!」という方は最上位モデル「X9400S」の一択です。
なお、もしタイムシフトマシン機能が気になる場合は、最上位モデルの型落ち「X9400」も選択肢となりえます。別記事で最上位モデルの新旧比較もしているので参考にご覧ください。
以上、東芝REGZAの4K有機ELテレビのグレード比較、「X9400S」と「X8900K」の違いの説明でした。