「Z875L」と「Z870L」は、ともに2022年6月に発売された東芝REGZAのタイムシフトマシン4K Mini LED液晶テレビ。
両モデルは、性能が異なる上位・下位モデルの関係です。
- Z875L:上位グレード
- Z870L:下位グレード
両モデルの違いを結論から述べると、主に次の2点です。
違いのある部分
- 映像処理エンジン(高画質化機能)の違い
- サイズ展開の違い
ただし、高画質化機能と一口に言っても、細かな点ではいくつかの違いがあるので、以下では具体的な機能差について紹介。
また、当記事では、機能差だけでなく現時点の価格も比較することで、今おすすめのモデルを検証します。
REGZA「Z875L」と「Z870L」の違いを比較
先述のとおり「Z875L」と「Z870L」の違いは、ざっくり「映像処理エンジン(高画質化機能)」と「サイズ展開」の2つと紹介しましたが、もう少し具体的かつ詳細に違いをまとめたのが下表です。
型番 | サイズ | 映像処理エンジン | 高画質機能 |
---|---|---|---|
Z875L (上位) | ・75V型 ・65V型 | レグザエンジン ZRα | ・AI ナチュラル フォーカス テクノロジー ・美肌AIフェイストーンZRα ・ネット動画AIビューティZRα ・地デジAIビューティZRα ・おまかせAIピクチャーZRα |
Z870L (下位) | ・55V型 | レグザエンジンZRⅡ | ・美肌AIフェイストーンZRⅡ ・ネット動画AIビューティZRⅡ ・おまかせAIピクチャーZRⅡ |
両モデルを比較すると、上位モデル「Z875L」の方が、画質関係の性能が高く、サイズも大型展開です。
ただし、下位モデル「Z870L」も決して画質レベルが低いわけではありません。
両モデルともレグザ初の「Mini LED広色域量子ドット液晶パネル」を搭載し、多数のLEDを緻密に配置することで従来比約2倍の高輝度化を実現。
広色域量子ドットの採用により、色鮮やかな表現が可能となり、高度なバックライトエリアコントロールで、高コントラストな映像の再現が可能となりました。
映像処理エンジンの違い
両モデルは次のとおり搭載する映像処理エンジンが異なります。
Z875L (上位) | レグザエンジン ZRα |
---|---|
Z870L (下位) | レグザエンジンZRⅡ |
上位モデル「Z875L」の「レグザエンジンZRα」は、3年ぶりに全面刷新した高画質映像処理エンジンです。
「ZR」という名前が付いていますが、従来の「ZRⅠ」エンジンのブラッシュアップ等ではなく、次世代を見据えた全く異なるエンジンとのこと。
「レグザエンジンZRα」の特徴は、DNN(ディープニューラルネットワーク)を駆使したAI処理を専門に行うチップを搭載している点です。
DNNとは?
AI(人工知能)の学習方法の1つで、従来のニューラルネットワークにさらに深い階層を加え情報処理能力を高めたもの。
ニューラルネットワークとは、人間の脳内の神経伝達回路(ニューロンやシナプス)をコンピューター上に模したプログラムのことをいう。
従来のニューラルネットワークは基本的に入力層、中間層、出力層の3層で構成されていたが、DNNでは中間層を多層構造とすることで、複雑な情報認識・処理判断を行う。
例えば、映像エンジンは、映像信号をパネルに表示する過程で、映像内の被写体と背景を区別して最適な画面出力を行いますが、AI判定を加えることで、より正確な映像の認識と、より適切な出力を実現します。
学習を重ねることで、より人間に近い感覚を学び、DNNにより複雑な判断を可能とするのが新AIチップのメリットです。
テレビの進化は、その場にいるような臨場感や、手を伸ばせば触れられるようなリアルな高質感を画面上でどこまで表現できるかの挑戦でもあります。
正直、下位モデルでも画質は充分だと思いますが、新モデルではDNNを駆使したAI処理を組み込むことで、より高次の表現へ挑戦しているのがポイントです。
高画質機能の違い
映像出力のベースとなる映像エンジンの差異は上述のとおりですが、ここからは機能レベルで、両モデルの画質に関する違いを紹介していきます。
まずは、改めて両モデルの持つ高画質化機能について確認しましょう。
Z875L (上位) |
・AI ナチュラルフォーカステクノロジー ・美肌AIフェイストーンZRα ・ネット動画AIビューティZRα ・地デジAIビューティZRα ・おまかせAIピクチャーZRα |
---|---|
Z870L (下位) |
・美肌AIフェイストーンZRⅡ ・ネット動画AIビューティZRⅡ ・おまかせAIピクチャーZRⅡ |
ここでは、上位モデル「Z875L」のみに搭載される高画質機能として、次の2機能を詳しく紹介します。
- AI ナチュラル フォーカス テクノロジー
- 地デジAIビューティZRα
AI ナチュラル フォーカス テクノロジー |
---|
映像中の遠景と近景をAIが判別することで、被写体を高精細に描き出す。
遠景には弱めの超解像を、近景にはくっきりとした超解像処理を施し、肉眼で見るような立体感と奥行き感のある映像を再現。 |
地デジAIビューティZRα |
複数回の超解像処理を行いながら、地デジ特有のチラつくノイズを強力に除去。
新たにノイズの発生しやすいテロップ部分やワイプ内の映像まで高画質に再現する。 |
そのほか「美肌AIフェイストーン」「ネット動画AIビューティ」「おまかせAIピクチャー」の3機能については、両モデルに搭載されています。
- 美肌AIフェイストーン(照明などにより不自然に映る肌色を自然に補正)
- ネット動画AIビューティ(ネット動画特有のノイズを抑制)
- おまかせAIピクチャー(テレビを設置する場所の明るさ、外光の影響、照明などを考慮して映像調節)
なお、下位モデルのAIテクノロジーはクラウド上に構築したビックデータ分析結果を取得して画像補正を行うため、ネット接続が必要です。
「Z875L」と「Z870L」の価格の比較
以上、上位モデル「Z875L」と下位モデル「Z870L」の主な機能の違いを紹介してきました。
ここからは両モデルの価格を比べ、おすすめモデルを検証します。
両モデルは、次のとおりサイズ展開が異なるので、各モデルのサイズごとに価格の目安を確認していきましょう。
55V型 | 65V型 | 75V型 | |
---|---|---|---|
Z875L (上位) | × | ○ | ○ |
Z870L (下位) | ○ | × | × |
Z875L(上位モデル)の価格
2022年6月の発売から時間経過が浅いため、まだまだ値頃感はありません。
家電は発売後、徐々に価格が下がっていきます。特にネット価格は日々変動するため気になるモデルはチェックをしてみてくださいね。
最新のAIチップは気になるところですが、現状、手を出すには少しためらう価格帯です。
2022年7月の価格目安
- 65V「65Z875L」:40万円前後
- 75V「75Z875L」:50万円前後
Z870L(下位モデル)の価格
下位モデル「Z870L」も、新モデルと同様に2022年6月発売と時間経過が浅いため、まだまだ高額。
上位モデルとの比較では10万円ほど安い状態で、価格的には有力な選択肢となりそうです。
2022年7月の価格目安
55V「55Z870L」:20万円台後半
「Z875L」と「Z870L」はどっちがおすすめ?
選ぶときには、後悔のないよう自分にとって必要機能が何なのかを吟味することが重要です。
Z875L (上位) |
・視聴環境を最高画質で整えたい ・大型モデルが欲しい ・肉眼で見るような立体感と奥行き感を楽しみたい |
---|---|
Z870L (下位) |
・画質は重視するがコスパも大事 ・サイズは中型で充分 ・予算は20万円台が限界 |
映像を視聴する際に画質で妥協したくない方は上位機種の「Z875L」を選ぶべきでしょう。
ただし、画質の進化はすでに相当なところまで到達しているため、両モデルの画質に極端な差を感じ取れるほど違いがあるとは思えません。
個人的には、価格差を踏まえると下位モデルで充分かなと思っています。
以上、東芝タイムシフトマシン4K Mini LED液晶レグザのグレード比較、「Z875L」と「Z870L」の違いの解説でした。