東芝「REGZA」は豊富なラインナップを抱えており、自分にあった最適なテレビを探すことが可能です。
しかし、現行モデルだけでも「シリーズ数×サイズ別」を踏まえると、モデル数は数十にもなり、どれを選ぶべきか迷うことも。
そこで、当記事ではREGZA全機種の比較を行い、最適なモデルを探すために必要な情報を、次の4つの構成でまとめました。
REGZAの特徴
他メーカーと比較したときに思い浮かぶ、東芝「REGZA」の特徴といえば、タイムシフトマシン機能です。
タイムシフトマシン機能とは、わざわざ録画予約をしなくても、全番組を外付けHDDに勝手に録画してくれる機能のこと。
タイムシフトマシン機能の主なメリットは次のとおり。
- 録画操作からの解放
- 録り忘れがなくなる
- 途中から見始めた今放送中の番組を始めから視聴できる
- チェックしていなかった「放送後に話題になった番組」を後から視聴できる
通常、テレビ番組表は未来の情報を探すものですが、タイムシフトマシン対応REGZAでは「過去番組表」から、時を遡って視たい番組を探せるのが面白いところ。
REGZAの選び方【3つのポイント】
多くのモデルの中から、自分にとって最適なREGZAを選ぶために意識すべきポイントは次の3つです。
テレビの選び方といえば「有機EL・液晶」という2択から入りがちですが、個人的には、まずは画面サイズから選んでいくのがおすすめです。
理由は、設置スペースが足りなかったり、サイズ展開がなければ、無意味となるため。
サイズ選びは、視聴距離(人とテレビの距離)が密接に関係するので、「有機ELの漆黒が~」と論じても、「スペース的にそもそも置けない」となれば本末転倒。
ということで、まずは画面サイズを考えて、その後に、ディスプレイ構造や搭載機能で選ぶのがおすすめです。
画面サイズで選ぶ
画面サイズを選ぶときは、視聴距離から選んでいくのがセオリーです。
「最適な視聴距離」には考え方が複数存在しますが、ここでは2つの基準を紹介します。
- 没入感を優先した視聴距離
- 疲れにくさを優先した視聴距離
特徴 | |
---|---|
没入感 優先 |
・映画、ゲーム、ライブ等に最適 ・テレビとの距離が近くなる ・臨場感を感じやすい ・狭くても設置しやすい考え方 |
疲れにくさ 優先 |
・地デジなど日常使い向け ・テレビとの距離が遠くなる ・疲れにくい ・狭い部屋では難しい考え方 |
「没入感を優先すると疲れやすい」「疲れにくさを優先すると没入感が得られにくい」というように、上記2つは相反する一長一短の考え方。
どっちが良い悪いという話ではないので、次のステップで画面サイズを選んでいくと失敗が少ないでしょう。
- 自宅のテレビの設置場所と視聴位置の距離を測る
- どちらの基準を優先するか決める
- 優先基準の最適距離の一覧内で計測距離に近いものを探す
- 一番近いものが自宅に最適なサイズ感
以降では、REGZAラインナップに当てはめながら、2つの考え方を紹介していきます。
没入感を優先して画面サイズを選ぶ
家電量販店などでよく「最適な視聴距離」と説明される考え方で、解像度に応じて、次の距離が最適とされています。
- 4K:画面の高さの1.5倍の距離
- HD:画面の高さの3倍の距離
この距離は「視角1度あたり60画素」となる目安距離なのですが、画面の粗さが気にならず、かつ視野いっぱいに映像が広がるため、没入感が高くなる距離と言えます。
臨場感が高く、映画・ゲーム・ライブ映像などを楽しむのに適した考え方です。
REGZAのテレビ画面の横・縦の比率(アスペクト比)は「16:9」なので、画面のインチ数から高さを求め、さらにサイズ・解像度ごとの最適な視聴距離を計算して次表にまとめました。
画面サイズ (解像度) | 最適な視聴距離 |
---|---|
75V(4K) | 139.2cm |
65V(4K) | 120.6cm |
55V(4K) | 102cm |
50V(4K) | 92.4cm |
48V(4K) | 88.8cm |
43V(4K) | 79.35cm |
40V(フルHD) | 145.5cm |
32V(HD) | 117.6cm |
24V(HD) | 87.9cm |
19V(HD) | 69cm |
上表を眺めると、「最適な視聴距離」が意外と近く感じるのではないでしょうか。
この考え方に基づくと、広くない部屋でも大画面サイズのREGZAを設置可能です。
ただし、この距離感は先述のとおり「画素の粗さが気にならない最短距離」なので、映画・ゲーム・ライブ映像などに入り込むには最適ですが、長時間は疲れやすいのがデメリット。
疲れにくさを優先して画面サイズを選ぶ
一方、疲れにくさを優先した場合の最適な視聴距離は、テレビの画面の高さの約3倍の距離と言われています。
没入感を優先した場合は、解像度に応じて基準が異なっていましたが、こちらは約3倍で一律です。
次表は、「臨場感・疲れにくさ」2つの考え方に基づく最適な視聴距離を並列して、改めてREGZAに存在するサイズ別でまとめたもの。
サイズ(解像度) 高さ | 臨場感 優先 | 疲れにくさ 優先 |
---|---|---|
75V(4K) 高さ:92.8cm | 139.2cm | 278.4cm |
65V(4K) 高さ:80.4cm | 120.6cm | 241.2cm |
55V(4K) 高さ:68.0cm | 102cm | 204cm |
50V(4K) 高さ:61.6cm | 92.4cm | 184.8cm |
48V(4K) 高さ:59.2cm | 88.8cm | 177.6cm |
43V(4K) 高さ:52.9cm | 79.35cm | 158.7cm |
40V(フルHD) 高さ:48.5cm | 145.5cm | 同左 |
32V(HD) 高さ:39.2cm | 117.6cm | 同左 |
24V(HD) 高さ:29.3cm | 87.9cm | 同左 |
19V(HD) 高さ:23cm | 69cm | 同左 |
上表を眺めると、「疲れにくさ優先」でテレビサイズを選ぶ場合は、比較的距離があることが分かります。
例えば、65V型の場合は約2.5mの距離をとる必要があるので、家具のレイアウトなどを踏まえ、スペースを確保できるか検討しましょう。
家電量販店などでは、「臨場感を優先した最適視聴距離」で勧められがちですが、自分にとっての最適な視聴距離を意識して、サイズを選んでみてくださいね。
ディスプレイで選ぶ(有機EL・液晶)
REGZAを選ぶときのポイントの2つ目は、ディスプレイ構造。
REGZAラインナップのなかには、有機EL・液晶の2種類のディスプレイを持つテレビが存在します。
有機EL | 液晶 | |
---|---|---|
価格 | 高い | 安い |
サイズ | 大型が多い 薄くて軽い | 小型~大型まで幅広い 厚みがあり重め |
視野角 | 広い | 狭い |
発色 | 色彩豊か | 有機ELに劣る |
黒の表現 | 得意 | 苦手 |
電気代 | 高い | 安い |
液晶テレビは、バックライト(光源)を搭載しているので、厚みあって重めです。
液晶に電圧をかけることで配列を変化させ、シャッターのように開閉を切り替えることで、バックライトの光を透過させたり、させなかったりします。
シャッターを閉めた状態でも光が漏れてグレーになりやすいので、黒の表現が有機ELより苦手と言われます。
対する有機ELテレビは、バックライトが必要ないので、薄くて軽め。
有機化合物で構成される発光層自体が光る仕組みで、バックライト(光源)が不要なことから「自発光方式」と言われます。
色の表現が豊かで、180度どの位置から画面を見ても、色や明るさが変化しにくい視野角の広さが魅力な反面、テレビ価格や電気代は比較的高めです。
搭載機能で選ぶ
選び方の基準として最後に紹介するのは、搭載される機能でREGZAを選ぶ方法。
REGZAの特徴として紹介した「タイムシフトマシン機能」のほかにも多くの機能がありますが、主なものを次のとおり紹介します(括弧内は機能概要)。
- 倍速パネル(動きの大きな映像を滑らかに)
- 複数チャンネル表示(画面分割して複数番組を同時視聴)
- 重低音バズーカ(低音専用のスピーカー)
- クリア音声(人の声が聞こえやすいよう調整)
- Dolby Atmos対応(対応コンテンツを3次元立体音響で再生)
- 瞬速ゲームモード(遅延を短縮)
- ネット動画(You Tube・Netflixなどをテレビ画面で視聴)
- Android TV(スマホ感覚でテレビにアプリをインストール)
- 音声操作(テレビやリモコンに話しかけて操作)
- スマートスピーカー連携(OK Google・Alexa・LINE CLOVAに対応)
- SeeQVault対応(録画機器以外でも再生可能)
以下、いくつか機能の補足です。
Android TVとは?
スマホでお馴染みのOS「Android」をベースとしたテレビ用OSで、スマホのように「Google Playストア」からアプリをインストール可能。
Android OS搭載REGZAでは、例えば、音楽アプリ「Spotify」で音楽を聞いたり、ゲームアプリをテレビ画面で遊んだりと、スマホ感覚でテレビをカスタマイズできるのが魅力です。
最近のテレビは、動画配信サービスを含むネット・アプリ操作などを快適に行えるようTV用OSを搭載したものも多く、スマートテレビとも呼ばれています。
SeeQVaultとは?
SeeQVault(シーキューボルト)とは、コンテンツ保護技術・規格のこと。
原則、外付けHDDに保存したデジタル放送は、録画した機器でしか再生できませんが、SeeQVault対応機器であれば、録画した機器以外の機器でも再生可能です。
REGZAの違いを比較表でチェック
ここまで、REGZAの特徴や選び方を確認してきましたが、ここからは最適な1台を見つけてもらうために、各シリーズのスペックや搭載機能を比較してみましょう。
シリーズ | ディスプレイ | サイズ展開 | チューナー数 | 4Kチューナー数 | 地デジ・BS裏番組 録画可能数 | 4K裏番組 録画可能数 | スピーカー合計出力 | タイムシフトマシン | 倍速パネル | 複数チャンネル表示 | 重低音バズーカ | クリア音声 | Dolby Atmos対応 | 瞬速ゲームモード | ネット動画 | Android TV | 音声操作 | スマートスピーカー連携 | SeeQVault |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
X9400S | 4K有機EL | 65V・55V・48V | 地デジ×9個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 1番組 | 65・55V型:142W (非同時出力) 48V型:72W | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ |
X8900K | 4K有機EL | 65V・55V・48V | 地デジ×3個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 1番組 | 72W | × | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
Z740XS | 4K液晶 | 65V・55V・50V | 地デジ×9個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 1番組 | 80W | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ |
Z670K | 4K液晶 | 75V・65V・55V・50V・43V | 地デジ×3個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 1番組 | 60W | × | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
Z570K | 4K液晶 | 65V・55V・50V・43V | 地デジ×3個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 1番組 | 40W | × | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
M550K | 4K液晶 | 75V・65V・55V | 地デジ×3個 BS/110度CS×3個 | BS4K/110度CS4K×2個 | 2番組 | 裏番組録画不可 | 40W | × | × | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
C350X | 4K液晶 | 55V・50V・43V | 地デジ×2個 BS/110度CS×2個 | BS4K/110度CS4K×1個 | 1番組 | 4K非対応 | 55・50V型:20W 43V型:14W | × | × | × | × | ◯ | × | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | × |
V34 | 40V型:フルHD液晶 32・24V型:ハイビジョン液晶 | 40V・32V・24V | 地デジ×2個 BS/110度CS×2個 | なし | 1番組 | 4K非対応 | 40V型:14W 32V型:12W 24V型:8W | × | × | × | × | ◯ | × | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | × |
S24 | ハイビジョン液晶 | 32V・24V・19V | 地デジ×2個 BS/110度CS×2個 | なし | 1番組 | 4K非対応 | 32V型:12W 24V型:8W 19V型:8W | × | × | × | × | × | × | ◯ | × | × | × | × | × |
なお、より詳しく各シリーズ間の違いを比較した関連記事もあるので、気になるモデルがあればご覧ください。
関連記事
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- V34とS24の違い(液晶ハイビジョン:上位と下位機種の比較)
おすすめのREGZAはどれ?
最後に、REGZAおすすめモデルを紹介します。
Z740XS(タイムシフトマシンが欲しい方におすすめ)
4K液晶REGZAの最上位モデル「Z740XS」は、タイムシフトマシンを搭載し、録画操作から解放されたい方におすすめのシリーズです。
こんな人におすすめ
- 地上波・BS放送などの視聴中心
- 番組を録画することが多い
- 見逃しや録画漏れが多い
- スペックにこだわりたい
- Netflix会員
- 有機ELはちょっと高い
タイムシフトマシン機能は、4K有機ELの最上位モデル「X9400S」にも搭載されていますが、液晶と比べて高額です。
例えば、2022年の年初時点の55V型を比べたときの価格目安は次のとおり。
- 4K液晶「55Z740XS」:16万円前後
- 4K有機EL「55X9400S」:25万円前後
以上が、タイムシフトマシンを搭載するREGZAのなかでも、液晶の「Z740XS」をおすすめする理由です。
「Z740XS」のサイズは50・55・65V型の3種の展開ですが、個人的には50V型か55V型がコスパが高くおすすめです。
選び方の項目で紹介した最適な視聴距離も意識して、ベストな画面サイズを選んでくださいね。
なお、「Z740XS」はAndroid OSは搭載していないものの、REGZA専用OSを搭載し、ネット動画などにも対応しています。
ネット動画対応モデルでも、機種により対応する動画配信サービスが異なりますが、下位モデルでは「Netflix」に対応していない機種も存在するので、Netflix会員の方にも当モデルはおすすめです。
Z670K(最新ゲームを低遅延で遊びたい方におすすめ)
PS5などの最新ゲームでよく遊ぶ方は、4K液晶のNo.2モデル「Z670K」がおすすめです。
「Z670K」はタイムシフトマシン機能はないものの、HDMI2.1規格の「4K120P入力・VRR・eARC」機能をサポートしており、ハイフレームレートのゲームに適したモデルです。
また、Android TVに対応しているため、「Google Playストア」から様々なアプリをインストールできる点が大きな魅力です。
これらは、最上位モデルにはない特徴で、REGZAのなかでも機種ごとに棲み分けがされています。
Z740XS (最上位) | Z670K (No.2) | |
---|---|---|
タイムシフトマシン機能 | 搭載 | なし |
映像エンジン | レグザエンジンCloudPRO | レグザエンジンZRⅠ |
AndroidTV OS | なし | 搭載 |
HDMI2.1 サポート機能 | ALLM | ALLM 4K120P VRR eARC |
Dolby Atmos | 非対応 | 対応 |
※赤文字が比較して優れているポイント
画質・音響・録画など、テレビとしての基本性能は最上位モデルが優れますが、ゲームに適した機能やスマートテレビとしての機能は「Z670K」の方が豊富です。
詳しくは関連の比較記事もご覧ください。
-
【Z740XSとZ670Kを比較】違いを徹底解説!東芝REGZAの4K液晶テレビ
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そのほか「Z670K」は、43・50・55・65・75V型とサイズの選択肢が多い点も魅力。
なかでも、50・55V型はコスパが高くおすすめで、2022年の年初時点では、10万円に迫ろうかという価格水準です。
なお「有機ELディスプレイの一択」という場合は「X8900K」がおすすめです。
「X8900K」も「Z670K」と同様に、HDMI2.1規格の「4K120P入力・VRR・eARC」機能サポートしたゲームにぴったりなモデルで、Android TV対応モデルでもあります。
サイズは48・55・65V型の3種展開。48・55V型であれば、高額な有機ELといえども、比較的手を出しやすく現実的な値段です。
比較表でもみたとおり、REGZAの4K有機ELテレビの最新モデルは2種存在しますが、次の関連記事で機能差と価格差を比較しているので、ぜひご覧ください。
-
【X9400SとX8900Kの違い】REGZAの4K有機ELテレビを比較
続きを見る
M550K(コスパ重視で大型画面のテレビが欲しい方におすすめ)
「M550K」は、4K液晶REGZAのエントリーモデル的な存在で、比較的、価格が安いのがポイントです。
上位モデルと比較すると、画質・音質のほか、倍速パネル非搭載、4Kの裏番組録画不可など、機能的に劣る部分もありますが、大型サイズでも価格が抑えられている点が大きな魅力。
例えば、上位種の65V型は10万円台の後半以上の価格帯のものが多いですが、65V型「M550K」は10万円台の前半あたりで手に入れることが可能です。
それなりの高画質・高音質な4Kテレビで、Android TVや動画サービス対応、しかも大画面で低価格なので、コスパ重視の方におすすめです。
以上、東芝REGZAの比較とおすすめモデルの紹介をお届けしました。