「Z740XS」と「Z670K」は、2021年に発売された東芝REGZAの4K液晶テレビ。
両モデルの関係は、機能が異なる上位・下位モデルの関係で、REGZA全機種のなかでも、ハイグレードな位置付けの機種となります。
- Z740XS:最上位グレード(2021年3月発売)
- Z670K:2番目のグレード(2021年6月発売)
当記事では、両モデルの機能の違いの詳細を解説したうえで、今の価格も比較することで、コスパの高いおすすめモデルを検証。
機能差と価格差を考慮し、どっちがお得か判断いただける構成になっています。
Z740XSとZ670Kを比較
「Z740XS」と「Z670K」の機能的な違いは、主に以下の5つです。
Z740XS (上位) | Z670K (下位) | |
---|---|---|
タイムシフトマシン機能 | 搭載 | なし |
映像エンジン | レグザエンジンCloudPRO | レグザエンジンZRⅠ |
AndroidTV OS | なし | 搭載 |
HDMI2.1 サポート機能 | ALLM | ALLM 4K120P VRR eARC |
Dolby Atmos | 非対応 | 対応 |
※赤文字が比較して優れているポイント
上表をご覧いただくと分かるとおり、上位モデル「Z740XS」が一律に優れるものではなく、下位モデルが優れる点も少なくありません。
東芝REGZAの4K液晶テレビ最上位モデルは「Z740XS」の位置付けですが、下位モデル「Z670K」には独自の新機能も搭載されており、うまく棲み分けされています。
つまり、テレビに対してどういった機能を求めるかで最適なモデルが変わってきます。
タイムシフトマシン機能の有無
上位モデル「Z740XS」は、下位モデルにはないタイムシフトマシン機能を搭載しています。
- Z740XS:搭載
- Z670K:非搭載
タイムシフトマシン機能とは、REGZA最上位モデルのみに搭載されている、レコーダーいらずの便利な機能。
わざわざ録画予約をしなくても、最大6チャンネルの地上デジタル放送の全番組を、本体に接続した外付けHDD(別売)に丸ごと自動録画が可能です。
当機能を活用すれば、録画予約から開放され、見たい番組を見たいタイミングでいつでも視聴できるようになります。
なお、タイムシフトマシンで最大6チャンネル録画した場合の、HDD容量別の録画時間の目安は次のとおり。
6TB | 約120時間(約5日間) |
---|---|
4TB | 約80時間(約3.3日間) |
2TB | 約40時間(約1.7日間) |
次のような方には、便利な「タイムシフトマシン」機能が搭載された上位モデルの「Z740XS」がおすすめです。
- 録画予約を忘れがち
- 番組の見逃しが多い
- 忙しくて見たい番組の放送時間に帰宅が間に合わない
映像処理能力・高画質化機能の違い
両モデルは、映像処理の心臓部とも言える映像エンジンが異なります。
- Z740XS:レグザエンジン Cloud PRO
- Z670K:レグザエンジンZR Ⅰ
「Z740XS」に搭載される映像エンジン「レグザエンジンCloud PRO」は、この5年間スペックはそのままに、アルゴリズムを刷新するなどして画質処理をアップデートしてきた映像エンジンです。
それに対して、下位モデル「Z670K」には、5年振りとなる新型映像エンジン「レグザエンジンZR Ⅰ(ゼットアールワン)」が搭載されました。
「レグザエンジンZR Ⅰ」は、性能や処理速度を大幅に高めた新型エンジンで、上位モデルより基本性能の高さが伺えます。
ただし、個々の高画質化機能の仕様を比べると、上位モデル「Z740XS」に搭載される機能の方が、全体的に優れています。
広色域復元 | カラーイメージ コントロール | HDR高画質 | 倍速制御 | |
---|---|---|---|---|
Z740XS (上位モデル) | 広色域復元PRO | 64色軸制御 | AI HDRオプティマイザー | 4Kクリアダイレクトモーション480 |
Z670K (下位モデル) | 広色域復元 | 36色軸制御 | HDRオプティマイザー | 4K倍速パネル |
上表の4機能は、色や輝度の表現、動きの速いシーンの滑らかな再現性などを向上させる機能群ですが、高画質化機能はいずれも上位モデル「Z740XS」の方が優れています。
Android TV OSの搭載の有無
下位モデル「Z670K」では、東芝のテレビとしては初めての「Android TV OS」を採用しています。
「Android TV OS」は、スマホでお馴染みのOS「Android」をベースとしたテレビ用OSで、スマホのように「Google Playストア」からアプリをダウンロード可能。
下位モデル「Z670K」の新型映像エンジン「レグザエンジンZR I(ゼットアールワン)」は、Android TV OSとうまく融合し、操作感も快適に仕上がっています。
一方の上位モデル「Z740XS」は、「Android TV OS」ではなく独自OSを搭載。「Google Playストア」からアプリのダウンロード等はできないものの、一部の動画配信サービスに対応しています。
モデル (OS) | Netflix | Prime Video | Disney+ | net.TV | YouTube | TVer | Paravi | TELASA | FOD | dTV | ABEMA | U-NEXT | Hulu | TSUTAYA TV | DMM.com | DAZN | SPOOX | Rakuten TV | GYAO | クランクインビデオ | BANDAI CHANNEL | ひかりTV4K |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Z740XS (独自OS) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | × | ◯ |
Z670K (Android TV OS) | × | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
下位モデル「Z670K」は民放系の「TVer」「TELASA」などに対応する一方、「Netflix」は非対応。
「Netflix」を視聴する場合は、「Google Chromecast」や「Amazon Fire TV Stick」のようなHDMIスティック型のメディアプレイヤーが必要です。
様々なアプリをテレビで楽しみたい方や、Netflix会員でない場合は、下位モデル「Z670K」の方が適しているかもしれません。
HDMIサポート機能の違い
「Z740XS」と「Z670K」は、もともと両モデルとも以下の機能を搭載し、ゲームにも適したモデルです。
- 瞬速ゲームモード(約0.00083秒の低遅延を実現)
- オートゲームアジャスト(ゲーム機に合わせて自動的に最適な映像を再現)
- ALLM設定(低遅延モードへの自動切替)
上記に加え、下位モデル「Z670K」は、次に挙げるHDMI2.1規格の機能をサポート対応したことで、より快適なゲームプレイが可能となりました。
- 4K120P入力対応(4K画質1秒120コマの映像に対応)
- VRR対応(可変フレームレートで遅延・角つきを軽減)
- eARC対応(Dolby Atmos等の3次元音響も伝送可能)
Z740XS (上位) | Z670K (下位) | |
---|---|---|
瞬速ゲームモード | ◯ | ◯ |
オートゲーム アジャスト | ◯ | ◯ |
ALLM対応 | ◯ | ◯ |
4K入力対応 | 4K60P対応 | 4K120P対応 |
VRR対応 | × | ◯ |
eARC対応 | × | ◯ |
上位モデル「Z740XS」でも快適にゲームで遊べますが、下位モデル「Z670K」の方が、ハイフレームレートの最新ゲームを遊ぶにはより適している印象です。
音響性能の違い
Z740XS (上位) | Z670K (下位) | |
---|---|---|
スピーカー システム | 重低音バズーカ オーディオシステムPROII | レグザ重低音 立体音響システムZP |
スピーカー数 | 6個 | 9個 ※75Vは11個 |
実用最大出力 | 80W | 60W |
Dolby Atomos | × | ○ |
下位モデル「Z670K」は「レグザ重低音立体音響システムZP」と称するスピーカーシステムを搭載。
合計9個(75Vは11個)のスピーカーをマルチアンプで駆動する事で、パワフルで臨場感あふれるサウンドを再現します。
また「Z670K」では新たに上向きのスピーカーを採用して「Dolby Atmos」に対応。音を天井で反射させることで、上方向から音が聞こえる臨場感を実現しました。
「Dolby Atomos」とは
3次元立体音響技術が特徴のサラウンドシステムのこと。
水平方向のみならず上下方向の音も加わり、音に包まれるような立体的な音響を実現するほか、映像の内のモノ(人や車など)に音+位置情報を付加して臨場感を演出。
一方の上位モデル「Z740XS」は「重低音バズーカオーディオシステム PRO II」と称するスピーカーシステムを搭載。
下位モデル「Z670K」と同様に2ウェイスピーカーを軸に重低音用ウーファー、パッシブラジエーターなど総合出力80Wのマルチアンプ駆動システムとなっています。
総合出力も大きく、基本的な音質では「Z670K」を上回っている面もありますが、Dolby Atmosには対応していません。
ここ数年は、音での臨場感アップもテレビのトレンドなので、下位モデル「Z670K」の方がトレンドに沿っている性能という印象です。
「Z740XS」と「Z670K」の価格の比較
以上、「Z740XS」と「Z670K」の主な機能の違いを紹介してきました。ここからは両モデルの価格を比べ、おすすめモデルを検証します。
両モデルのサイズ展開は次のとおり異なるので、各モデルのサイズごとの価格帯の目安を比較してみましょう。
Z740XS (上位モデル) | Z670K (下位モデル) | |
---|---|---|
43V | × | ◯ |
50V | ◯ | ◯ |
55V | ◯ | ◯ |
65V | ◯ | ◯ |
75V | × | ◯ |
「Z740XS」の価格
上位モデル「Z740XS」の発売日は2021年3月。発売から時間がたち、価格についてもかなり落ち着いてきた印象です。
50・55インチはコスパが高く現実的な価格帯なので、タイムシフトマシン機能に惹かれる方は、このあたりのラインがおすすめです。
2022年7月時点の価格目安
- 50インチ:14万円~
- 55インチ:15万円~
- 65インチ:21万円~
「Z670K」の価格
一方、2021年6月発売の下位モデル「Z670K」も発売時と比べて価格は大きく落ちています。
同サイズで、上位モデル「Z740XS」と比較してみると、約2~3万円程度は「Z670K」の方が安くなっており割安に感じます。
2022年11月時点の価格目安
- 43インチ:9万円~
- 50インチ:12万円~
- 55インチ:12万円~
- 65インチ:16万円~
- 75インチ:27万円~
【結論】「Z740XS」と「Z670K」はどっちがおすすめ?
「Z740XS」と「Z670K」は、上位モデル・下位モデルという関係性ではあるものの、両モデルとも特徴が異なり、棲み分けができている印象。
どちらにも優れたポイントがあり、用途や機能で選ぶのが正解と言えそうです。
Z740XS (上位) |
・地上波・BS放送などの視聴中心 ・番組を録画することが多い ・見逃しや録画漏れが多い ・スペックにこだわりたい ・Netflix会員 |
---|---|
Z670K (下位) |
・安さ(コスパ)重視 ・動画配信サービスの視聴が多い ・様々なアプリをテレビ画面で楽しみたい ・最新ゲーム機で快適に遊びたい |
個人的には、タイムシフトマシン機能を必要としていない方は下位モデル「Z670K」がおすすめ。
理由は、テレビとしての基本性能が高く、上位モデルにない独自機能も多数持っているうえ価格が安いため。特にアプリで自分好みにカスタマイズしたい方には最適です。
反対に「絶対にタイムシフトマシン機能が欲しい!」という方は上位モデル「Z740XS」の一択です。
以上、東芝REGZAの4K液晶テレビのグレード比較、「Z740XS」と「Z670K」の違いの説明でした。