以前、シャークの人気シリーズ「EVOPOWER SYSTEM」から、CS501Jをレビューして、そのクオリティの高さに感動したのですが、今回はその後継となる新機種「CS651J」をレビュー。
「EVOPOWER SYSTEM」の機能について全体的な見直しや改善を図り「EVOPOWER SYSTEM ADV」という名前にて、2021年10月に上位モデルとして発売されました。
前シリーズの評判は良く、2021年4月の調査ではユーザー満足度96%という高評価。私も実際に使用してみましたが、気になる点はありつつも機能性・デザイン性・使い勝手に大満足でした。
しかし、主に良好な調査結果のなかにも、次のような改善要望があったそうです。
EVOPOWER SYSTEMの課題・要望
- 運転時間をより長く
- 運転音を小さく
- 大きいゴミの取りこぼしを減らしたい
- ミニモーターヘッドの収納場所がない
- FLEXモデルのカラーが選べない
- ゴミ捨てボタンを押し間違える
- ブラシロールを外すのが大変
調査で明らかになった上記課題に対して、対応した結果が新シリーズ「EVOPOWER SYSTEM ADV」です。
今回は、新シリーズのうちパイプが折れ曲がるFLEXモデル「CS651J」を、メーカー様からお借りする機会をいただきました。
ということで、この記事では「前作からの課題を改善して本当に進化しているのか」というテーマを持って「CS651J」の実機レビューを行います。
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CS651Jの特徴
冒頭に挙げた7つの課題が改善されているかを検証する前に、まずは「CS651J」の主な特徴を簡単に紹介します。
シャークの魅力のひとつはデザイン性の高さですが、新モデルもインテリアのような高級感あふれる外観を引き継いでいます。
ライト直下で垂直に光が当たると照りが出て、マットな印象は少し薄れますが、光沢に嫌らしさはなく、上質な雰囲気が漂います。
「CS651J」はパイプが折れ曲がるFLEX機能を搭載しており、ソファや家具の下を屈まずに立ったまま掃除できます。
ワンプッシュで簡単にパイプが折れ曲がるので、掃除中に屈む頻度が減ることで足や腰への負担が軽減されます。元のスティック形状にも一瞬で戻せるので、使い勝手は抜群です。
また、スティック型とハンディ型が一体となっており、掃除途中にワンタッチでハンディに切り替えて、スティック形状では掃除しにくい高い場所や家具の上などが清掃可能。
床掃除のついでに、空気清浄機の吸引口に溜まったホコリをノズル交換せずにハンディで掃除できるのが、個人的にかなり便利に感じました。
以上の特徴は旧モデルから搭載されている「シャークといえば」的なものですが、新モデルでも健在で安心しました。
CS651Jの7つの進化を検証
冒頭で挙げた7つの課題について、「CS651J」では次のとおり改善策が示されました。
連続運転時間と運転モードの見直し
「CS651J」では、各モードの運転時間が見直されました。特に使用頻度の高い「標準モード」の連続運転時間が長くなったことがポイントです。
また、吸引力を落として運転時間を大きく延ばした「エコモード」が新たに搭載され、コードレス特有の時間に追われる問題が解消されたのも注目すべき点。
運転モード | CS651J (新) | CS501J (旧) |
---|---|---|
ブースト | 約14分 | 約16分 |
標準 | 約32分 | 約24分 |
エコ | 約50分 | モードなし |
※新旧モデルともバッテリーが2つ付属、上表は2本使用した場合の時間。
「CS651J」では、ブースト運転の時間が短くなりましたが、ブーストを使うのは主に絨毯やカーペットの掃除などで利用頻度は低め。標準モードの時間が延びたことで、より実態にあった形に見直されたように感じます。
我が家の場合、家中をしっかりと掃除すると20分程度なので、旧モデルの標準モード24分というスペックは結構ギリギリ。
「ちょうど足りるが余裕はあまりない」という感じだったので、標準モードの時間が延びると安心感があります。
また、新しいエコモードについては、吸引力が足りるのか心配でしたが、もともとの吸引性能が高いので全く問題ありませんでした。
フローリング中心なら基本的にエコモードでもOK。標準モードに比べて音も静かなのでおすすめのモードです。
なお、2本付属するバッテリーのうちの未使用の方は、スタンドで常時充電されるので、掃除中にバッテリーが切れてもすぐに取り替え可能です。
以上のとおり、連続運転時間に関しては、課題を見事解決し、より実用的な掃除機へと進化していると感じました。
静音性の高いエコモードの搭載
旧モデルのレビューの際にも書きましたが、クオリティに満足しつつも、旧モデルで私が少し気になったのが運転音の大きさです。
その点、新モデル「CS651J」では新たに搭載されたエコモードを使用することで少し静かな運転が可能に。
客観的な数値で比較できるよう騒音計で運転音を計測してみました。
環境や距離で騒音値は変わるので、あくまで同環境による各モードの相対的な比較ですが、各モードの結果は次のとおり。
エコモード | 76.8dB程度 |
---|---|
標準モード | 78.4dB程度 |
ブーストモード | 82.0dB程度 |
もちろん掃除機である以上それなりの運転音はするので、集合住宅で夜間に使用するのは難しいでしょうが、少しでも静音性が向上したのは喜ばしいことです。
静音性については、吸引力を犠牲にしない範囲で今後も追求して欲しい部分ですが、エコモードの搭載によりある程度の改善が見られました。
粒の大きいゴミや壁際のゴミに対する清掃力向上
個人的には旧モデル使用時に特に不便に感じたことはないのですが、大粒のゴミや壁際のゴミの吸引についても改善要望があったようです。
そして、その声を反映して開発されたのが新ヘッド「ハイブリッドパワークリーン」。
新ヘッドの特徴
- ブラシロールやフィンの毛量・長さ・角度を再設計して効率UP
- より太いブラシロールを採用して一回転あたりの接地面積増
- ヘッドカバーを再設計して大きなゴミを取りこぼさない
- ヘッドにブラシレスモーターを採用して高効率・省エネ実現
- モーターをブラシロールに内蔵してヘッドの奥行をスリム化
イメージしやすいようブラシロールやフィンを実際に見てみましょう。
ロール・フィン・ヘッドカバー・ヘッドモーターそれぞれに改良が加えられ、結果としてより多くのゴミを取りこぼしなく効率的に掃除することが可能となりました。
続いて、新ヘッド「ハイブリッドパワークリーン」の実力を確かめるべく、壁際に粒の大きい猫用トイレ砂を設置し、取りこぼしがないかテストしてみました。
この粒上のゴミに対して、一番吸引力の弱いエコモードで、壁際に押し込むように1回だけヘッドを前後させた結果が次の写真です。
粒が大きいためブラシロールの回転で2~3粒弾き飛ばしてしまいましたが、ほぼ完全に吸引。
壁際の大粒のゴミも難なく吸引でき、実用の上でも充分に合格点といえるテスト結果となりました。
なお、このブラシロールに髪やペットの毛が絡まないことが、以前からシャークの魅力のひとつでしたが新モデルにも継承されています。
家中を掃除した後でもきれいな状態のブラシロールを御覧ください。
うちは猫の多頭飼いで抜毛の量が半端ないですが「CS651J」でも毛が絡むことなくストレスフリーで掃除できました。
ミニモーターヘッドの収納スペースを確保
「CS651J」には4つのアクセサリーが付属しています。
- ミニモーターヘッド
- ペットマルチノズル
- ブラシ付き隙間用ノズル
- 布団用ノズル
アクセサリー類はスタンドへ収納可能ですが、旧モデルではミニモーターヘッドだけ収納スペースがありませんでした。
その点「CS651J」では、次の写真のとおり全てのアクセサリーを収納スペースにまとめることが可能。
FLEXモデルの多色展開
従前の「EVOPOWER SYSTEM」シリーズのFLEXモデルはピンクゴールドの1色のみでした。
カラーを選択できるようにして欲しいという要望を受けて「ADV」シリーズではFLEXモデルのカラーバリエーションが2色に増えています。
- ロイヤルブルー(BL)
- キャメル(OR)
アルファベットはカラー記号を表しており、型番末尾にくっついて本体カラーを表します。
例えば、型番「CS651SBL」はブルーで、「CS651SOR」はオレンジという具合。当記事ではオレンジモデルでレビューしています。
ちなみに旧モデル「CS501J」はピンクゴールドの一択でしたが、次の写真のとおりピンクの主張はそこまで強くないので、個人的には結構ありな色でした。
カラーは好みの問題なので、どっちが優れるという話ではないですが、新モデルで色を選べるようになったのは喜ばしいことで、要望にきっちり対応してきた形となります。
ゴミ捨てボタンを分かりやすく改良
ゴミ捨てボタンを押し間違えやすいという声を受けて、新モデル「CS651J」では操作部が見直されました。
まずは旧モデルのゴミ捨てボタンから見てみましょう。手元に電源ボタンがあり、そのすぐ上にあるレバーがゴミ捨てボタン。
このレバーを押し上げることで、ダストカップが開くのですが、電源ボタンとレバーが一体化して確かに少し分かりづらいです。
そこで新モデルでは、電源ボタンとレバーの距離を少し離すことで、直感的にわかりやすくなりました。
電源ボタンやレバーのサイズは旧モデルより小さくなりましたが、新モデルの方がデザイン的にも違和感がないように感じます。
ブラシロールを取り外しやすいよう改良
前作からの改良点が多い「CS651J」ですが、改良点の中で個人的に一番感動したのが、ブラシロールの取り外しについて。
取り外しの手間が圧倒的に軽減され、メンテナンス性が大きく向上。思わず「おぉ~!」と声を挙げてしまうほど。
「CS651J」では、旧モデルにはなかった「ブラシロールの取り外しボタン」がヘッド横に設置されています。
このボタンを押してロールを横に抜き取るだけで簡単にロールを外せます。取り外しにかかる時間はわずか数秒。
旧モデル「CS501J」にはヘッド裏に4つの留め具があり、コインなどを使って全て緩めないとブラシロールが取り外せませんでした。
次の写真は1円玉を使って旧モデルのブラシロールを外している様子です。
4つの留め具を外すには早くても1〜2分程度はかかるところが、新モデルでは数秒でブラシロールの取り外しができるので、お手入れの手間がかなり軽減されます。
まとめ
以上、シャークの新シリーズ「EVOPOWER SYSTEM ADV」から「CS651J」のレビューをお届けしました。
今回は「旧モデルの課題を改善できているのか」というテーマでのレビューですが、結論としては各課題に対してしっかり機能改善対応がされていたと思います。
新旧両モデルを使用した経験から、今回の改良のなかで特に好印象だった点は以下のとおり。
特に好印象な改良
- エコモード搭載による長時間化
- エコモード搭載による静音性の向上
- ブラシロールの簡単取り外しによるメンテナンス性の向上
旧モデルのこれらの点をネックに感じていた方には、ぜひ試してもらいたい出来です。
新モデル「CS651J」は、もともとクオリティの高いシャークの掃除機がさらに実用的に進化したおすすめに値するモデルでした。
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