「NW-FA10」と「NW-LB10」は、象印の炊飯器の中でも最高グレードを誇り、炎のゆらぎを再現した加熱技術「炎舞炊き」を搭載したハイエンドシリーズです。
そんな両モデルは、同シリーズの中でも発売年の異なる新旧モデルの関係です。
- NW-FA10:2022年6月発売
- NW-LB10:2021年6月発売

両モデルの違いは、主に次の9点です。
新旧の違い
- IHヒーターのローテーション構造
- タッチパネル式の採用有無
- 炊き分けメニューの違い
- 冷凍ごはんメニューの有無
- 無洗米メニューの有無
- 温度センサー位置と庫内形状
- 時計式メモリータイマーの違い
- 本体カラーと形状の違い
- 持ち手の有無
当記事では、上に挙げた9つの違いについて詳しく解説したうえで、現時点の両モデルの価格も比較。
機能差と価格差の2つの視点で、今おすすめのモデルがどっちなのか、家電アドバイザー有資格者の目線で比較検討します。
なお、関連記事では、炎舞炊き搭載モデルを全て比較して違いを検証しているので、炎舞炊きモデルの全体像を俯瞰したい場合は併せてご覧ください。
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【炎舞炊き(えんぶだき)炊飯器の違い】型落ち含めて全モデル比較!今のおすすめは?
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NW-FA10とNW-LB10の違い
はじめに挙げた9つの違いを順番に詳しくチェックしていきましょう。
3DローテーションIH構造
新モデル「NW-FA10」では、ヒーター制御を「3DローテーションIH構造」という新構造に変更し、縦方向だけでなく縦・横・斜め方向にも対流を生み出せるようになりました。
- NW-FA10(新)
→ 縦・横・斜めへの対流 - NW-LB10(旧)
→ 縦対流が主
引用:象印公式
炎舞炊きモデルは、複数のIHヒーターを高速で切り替え、加熱制御を行うことで、激しい対流を生み出し、炊きムラを抑えるのが特徴ですが、旧構造では中心部の対流が弱いという課題がありました。
釜内の横方向の対流が生まれていなかったことが原因ですが、新モデル「NW-FA10」では新形状に変更し、立体的でより複雑な対流を生み出すことが可能に。

タッチパネル
新モデル「NW-FA10」ではタッチパネル式が採用されました。
- NW-FA10(新)
→ ボタン操作&タッチパネル - NW-LB10(旧)
→ ボタン操作
旧モデル「NW-LB10」は液晶画面の手前にあるボタンで操作する形でした。
一方、新モデル「NW-FA10」は良く使うボタン(炊飯/保温/予約)は残したまま、他のメニューはタッチパネル操作に。
直観的に操作できるので新モデルの方がより使いやすい印象でしょうか。
タッチパネル化により、本体の操作ボタンの数が減ったため、デザイン的にすっきりした点も良い感じです。

炊き分けメニュー
新モデル「NW-FA10」では、炊き分けメニューが細かくなり、より自分好みの食感に合わせたり、献立に合う炊き加減が実現できるようになりました。
炊き分けメニューとは?
「圧力の強さ」と「圧力をかける時間」を調整することで、しゃっきり・もちもちなど、数段階で食感を炊き分けるメニューのこと。
新モデル「NW-FA10」では15通り、旧モデル「NW-LB10」では7通りの炊き分けが可能です。
モデル | メニュー呼称 | メニュー数 | 内容 |
---|---|---|---|
NW-FA10 (新モデル) | 炊き分けセレクト | 15種類 | ・かたさ(軟・標準・硬) ・粘り(弱2・弱1・標準・強1・強2) の15の組み合わせで指定 |
NW-LB10 (旧モデル) | 炊き分け圧力 | 7種類 | ・すしめし ・しゃっきり ・ややしゃっきり ・ふつう(白米) ・ややもちもち ・もちもち ・玄米 |
また、食感の炊き分けに関しては新旧両モデルとも、121通りの好みの食感を実現する「我が家炊き」という機能も搭載しています。
「我が家炊き」では、食べ終わった後に、食感の感想を入力することで、次の炊き加減を反映していく機能。

- 炊き分けメニュー
→ 献立や気分に合わせてスポット的な使用 - 我が家炊き
→ 日常炊きの食感を調整
「我が家炊き」について具体的に知りたい場合は、当シリーズ2019年モデル「NW-KB10」実機レビュー記事も参考になるのでチェックしてみてくださいね。
冷凍ごはんメニューの有無
新モデル「NW-FA10」では、冷凍ごはんメニューが搭載されました。
- NW-FA10(新)
→ 冷凍ごはんメニューあり - NW-LB10(旧)
→ 搭載なし
お米の中に水分を閉じ込める炊き方で、レンジであたため直しても余計な水分が出ずに、べたつきにくく、ほぐれやすいごはんになります。
大量に炊いて冷凍保存するという人には、毎回炊きたてのようなごはんが食べられるので便利なメニューです。
無洗米メニューの有無
新モデル「NW-FA10」には無洗米専用メニューがあります。
- NW-FA10(新)
→ 無洗米メニューあり - NW-LB10(旧)
→ 搭載なし
普通米であれば洗うときにお米が水を吸うのですが、無洗米はこの作業がないために普通のお米よりも水の量が多く必要です。
無洗米メニューがない場合には自分で調整する必要がありますが、無洗米メニューを使えば特に気にせず、無洗米専用の火力を高めた炊き方でおいしく炊いてくれます。

温度センサー位置と庫内形状
新モデル「NW-FA10」では、温度センサーの位置が変更となりました。

- NW-FA10(新)
→ 庫内の前方側面 - NW-LB10(旧)
→ 本体底中央
この結果、新モデルの庫内はフラット形状となり、拭き掃除がしやすくなったのがポイントです。
時計式メモリータイマーの違い
どちらも時刻指定で炊飯できるタイマー機能を持っていますが、事前にセットできるメモリタイマーの数が異なります。
モデル | メモリータイマー数 |
---|---|
NW-FA10(新) | 4種類 |
NW-LB10(旧) | 2種類 |
炊飯サイクルが「朝と夜の2回」などと決まっている人は2種類でも十分ですが、変則的な炊き方をする、食事にたびに少量を炊く、という家庭には便利になりました。
本体カラーと形状の違い
新旧両モデルとも、白色か黒色の2色展開は同じですが、黒色のテイストに差があります。
モデル | 本体カラー |
---|---|
NW-FA10(新) | ・黒釉(BZ) ・絹白(WZ) |
NW-LB10(旧) | ・濃墨(BZ) ・絹白(WZ) |
まずは新モデルのカラーイメージ。グレーがかったマットな黒で落ち着いた色合いです。
続いて旧モデル。濃い黒で光沢がありスタイリッシュな印象です。
フォルムも少し変更され、旧モデルは四角く重厚感があるのに対して、新モデルはやや丸みを帯びたフォルムで柔らかい雰囲気があります。
お部屋のインテリアに合わせて選ぶのも良いでしょう。
なお、型番上では末尾のカラー記号(アルファベット)で、本体カラーを判断します。
カラー記号の見方
例えば、次のように表現されます。
NW-FA10-BZ → 新モデルの黒色
NW-LB10-WZ → 旧モデルの白色
持ち手の有無
新モデル「NW-FA10」では、炊飯器を運びやすくする本体の持ち手がなくなりました。
- NW-FA10(新)
→ 本体の持ち手なし - NW-LB10(旧)
→ 本体の持ち手あり
個人的には炊飯器本体を持ち運ぶことが少ないので、持ち手がなくても問題ないかなと感じています。
むしろ、デザイン的には持ち手がない方がすっきりするので好印象。
ただし、炊飯後に食卓まで炊飯器ごと運ぶ家庭では、持ち手がある旧モデルの方が便利でしょう。
新旧モデル共通の特徴
新旧モデルの違いをご紹介してきましたが、「NW-FA10」と「NW-LB10」共通の特徴も簡単にご紹介します。
- 121通りのわが家炊き(食感の感想を入力していくことで自分好みの食感に)
- 7通りの炊き分け圧力(好みの食感に炊き分ける)
- 豪炎かまど釜を採用(鉄を仕込んだ熱伝導の高い特性釜)
- 内釜5年保証(通常使用で内釜のフッ素加工が剥がれた場合に無償交換)
- 熟成炊き(吸水時間を長くしてふっくら仕上げるモード)
- 極め保温(センサーによる温度管理で40時間美味しく保温)
- 人工知能AI炊飯(季節の変化や商品劣化をAIが補正し、常に購入時と同様の炊きあがりを実現)
- 蒸気セーブメニュー(蒸気を80%カット)
- 白米特急メニュー(1合を15分で炊ける)
- 白米急速メニュー(1合を30分で美味しく炊ける)
- 鉄器おこげメニュー(ちょうどいいおこげを簡単に作れる)
- お弁当メニュー(中パッパ工程で圧力をかけ水分を凝縮、冷めてもモチモチ)
- やわらかごはんメニュー(白米普通より柔らかく、おかゆより固く炊く)
- 玄米・雑穀米・麦ごはん・金芽米メニュー(専用メニューで最適に炊く)
- フラットパネル・フラットフレーム構造(汚れが拭きやすい)
- クリーニング機能(におい残りを抑える)
NW-FA10とNW-LB10の価格を比較
ここまで、「NW-FA10」と「NW-LB10」の機能的な違いを中心にお届けしましたが、ここからは両モデルの価格を比べてみましょう。
その前に、まずは当シリーズの価格推移の傾向をサクッと確認しておきましょう。
- 発売時の初値:12万円台
- 底値圏:5~6万円台
以上を踏まえて各モデルの価格をチェックします。

NW-FA10の価格
2022年6月発売の新モデル「NW-FA10」の発売時価格は10万円オーバーでしたが、2023年1月時点では、8万円台のものが多くなり、値頃感が出てきました。
旧モデルからの変更点が多く、個人的にはボタンが少なくなり外観がシンプルになったことと、質感がマットになったことに特に魅力を感じます。
まだ旧モデルの方がわずかに安いことが多いですが、価格差は縮まってきているので、そろそろ選択肢として見て問題ないでしょう。
これまで紹介した新旧モデルの機能差と価格差を天秤にかけてみて選んでみてください。
NW-LB10の価格
2021年6月発売の旧モデル「NW-LB10」は、価格的には安いモデル。
発売時は12万円前後からのスタートでしたが、2022年夏以降は、安いもので7万円台あたりを推移することが多く、価格重視の方にはおすすめです。
ただし、2023年に入ってから少し価格の上昇傾向が見られます。
価格上昇が一過性のものなのか、今後注視する必要がありますが、先述のとおり新旧の価格差は縮まってきています。
機能差を考慮すると、個人的にはそろそろ新モデル推しでしょうか。
ちなみに、より古いモデル「NW-LA10」は、価格的に高くなっているうえに、機能的にも劣るので、当記事の比較からは除外しています。
結論|おすすめモデルは?
結論としては、今のおすすめは新モデル「NW-LA10」です。
理由は、新モデルの方がわずかに高額なものの、機能性・デザイン性が魅力的で、価格差以上の価値を感じるため。
徹底的に価格にこだわる場合は、旧モデルもまだまだ選択肢ですが、現状の価格差であれば、個人的には新モデル推しです。

今のおすすめモデル
以上、象印の圧力IH炊飯機「炎舞炊き」シリーズの最高峰となる「NW-LA10」「NW-LB10」の違いの解説でした。