「KC-40TH4」は、2020年9月に発売されたシャープ製造の空気清浄機ですが、特定の販売店のみに卸される販路限定モデル。
そのため、シャープ公式HPには情報が掲載されておらず、スペックがわかりにくい機種です。
外観は、正規モデルの「KC-50」シリーズと似ていますが、実は中身のベースはシャープ正規版2016年式モデル「KC-G40」。
売れ筋の「KC-50」シリーズと比べると、性能的には下位グレードとなります。
そこで、この記事では、
- 機能・性能の紹介(デメリット含む)
- お手入れの手間
- 他機種との比較
という3つの視点から、「KC-40TH4」を分析し、買いのモデルなのかを考察したいと思います。
KC-40TH4の機能や性能
「KC-40TH4」の主な機能や性能について、次の4点を解説します。
- プラズマクラスター
- 加湿機能
- フィルター
- 電気代
プラズマクラスター7000を搭載
引用:シャープ公式
「KC-40TH4」は、プラズマクラスター7000を採用。
値段が安い機種ですが、シャープの代名詞とも言えるプラズマクラスターはしっかり搭載しています。
プラズマクタスターには3つのグレードがあり、イオン濃度の違いでスピードや効果に違いがあります。
「手頃な価格でプラズマクラスターがあればいい!」という方にはおすすめですが、イオンにこだわりたいなら上位機種を検討した方がよいでしょう。
加湿機能あり
シャープの空気清浄機には、加湿機能ありのモデルと、なしのモデルが存在しますが「KC-40TH4」は加湿機能を搭載しています。
最大加湿量 | 最大400mL/h |
---|---|
加湿面積 | プレハブ洋室~11畳(18㎡) 木造和室~7畳(11㎡) |
加湿方式 | 気化方式 |
タンク容量 | 約2.5L |
加湿時の空気清浄範囲 | ~13畳(21㎡) |
加湿フィルター寿命 | 10年交換不要 |
シャープのラインナップの中で比べると加湿力は低い部類です。
加湿を重視する場合は、たっぷり加湿を売りにしている「KI-NS50(最大加湿量600mL/h)」などの上位機種が向いています。
「KC-40TH4」は低価格でコスパを重視した機種なので「加湿はあればOK!」くらいの気持ちならおすすめです。
また、加湿運転時には最大風量が弱まることにも注意が必要です。
加湿OFFで空気清浄する場合は、最大風量4.0m³/分で18畳(30㎡)までカバーしますが、加湿運転時は最大風量2.7m³/分で13畳(21㎡)まで適用面積が落ちてしまう点に注意しましょう。
フィルターはHEPAではなく2年交換
「KC-40TH4」の採用するフィルターは、集じん・脱臭一体型フィルターで交換目安は2年です。
加湿フィルターは10年交換不要ですが、こちらのフィルター寿命は2年なのでランニングコストが発生します。
上位機種は「HEPAフィルター」を採用し、10年交換不要を謳っているので、「KC-40TH4」のフィルター性能に関しては正直微妙です。
交換用フィルターは「FZ-G40SF」という型番で、値段は3,630円(税込)。
フィルターは劣化するので定期交換の方が良いという考え方もありますが、コスト的な負担もあるので、この点は熟考が必要です。
電気代は安い
空気清浄機は、24時間運転が一般的ですが、気になるのは電気代。
「KC-40TH4」の電気代はどれくらいなのでしょうか。消費電力に関するスペックをまとめてみました。
消費電力 (加湿OFF) | 強:27W 中:10W 静音:2.8(2.5)W |
---|---|
1時間の電気代 (加湿OFF) | 強:約0.73円 中:約0.27円 静音:約0.08(約0.07)円 |
消費電力 (加湿ON) | 強:12W 中:7.5W 静音:3.5(3.2) |
1時間の電気代 (加湿ON) | 強:約約0.32円 中:約0.20円 静音:約0.09(約0.09)円 |
※()内は60Hzの地域
加湿ONの方が電気代が安い理由は、先述のとおり風量が弱まるためです。
消費電力の高い加湿OFF時で電気料金を試算してみると、中モードで24時間稼働させると約6.48円、31日で約200円。
自動運転にした場合は、静音モードの時間が一番長くなると思われるので、実際の消費電力がさらに小さくなることを考えると電気代はあまり気にしなくてもよさそうです。
KC-40TH4のお手入れの手間は?
「KC-40TH4」のお手入れが必要な部分は次の4箇所で、説明書での推奨メンテナンス頻度は月1回程度となっています。
- 加湿フィルター・タンク・トレー:水洗い
- 集じん・脱臭フィルター:掃除機で軽く吸う
- プレフィルター:掃除機で吸う
- センサー:掃除機で吸う
給水タンク・トレーの汚れが落ちにくい場合は、クエン酸をぬるま湯で薄めて使うと効果的です。
本体裏面のプレフィルターの掃除に関しては、装着したまま掃除機をかけることができます。
また、お手入れの手間を軽減したい場合は、使い捨てのプレフィルター6枚入りが935円(税込)で別売りされています。
使い捨てプレフィルターの交換目安は約1ヶ月で、ペットの毛やタバコのヤニなど面倒な汚れに対して効果を発揮します。
KC-N50、KI-NS40との違いを比較
「KC-40TH4」の他機種との違いも気になりますよね。
ということで、同程度スペックのシャープ空気清浄機の中から「KC-N50」「KI-NS40」と仕様上の違いを比較してみます。
機種選定の理由
- KC-N50:シャープの売れ筋、デザインが「KC-40TH4」と似ており混同しやすいため
- KI-NS40:最大風量が同じで空気清浄力的には同クラスなため
基本スペックの比較
型番 | プラズマクラスター グレード | プラズマクラスター 適用床面積 | 本体カラー | 待機時消費電力 | 外形寸法 | 重量 | フィルター | センサー | 独自気流 | モニター |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
KC-40TH4 | 7000 | 約11畳(約18m²) | ホワイト(W) | 約0.3W | 幅 399×奥行230×高さ613mm | 約7.5kg | 集じん・脱臭一体型フィルター(交換目安:約2年) プレフィルター | ニオイ 湿度 温度 | スピード循環気流 | 3段階湿度モニター きれいモニター |
KC-N50 | 7000 | 約13畳(約21m²) | ホワイト(W) | 約0.3W | 幅 399×奥行230×高さ613mm | 約7.5kg | 静電HEPAフィルター(交換目安:約10年) ダブル脱臭フィルター(交換目安:約10年) プレフィルター | ニオイ 湿度 温度 | スピード循環気流 | 3段階湿度モニター きれいモニター |
KI-NS40 | 25000 | 約10畳(約17m²) | ホワイト(W) | 約0.3W | 幅280×奥行260×高さ622mm | 約6.7kg | 集じん・脱臭一体型フィルター(交換目安:約2年) プレフィルター | ニオイ 湿度 温度 | スピード循環気流 | 3段階湿度モニター きれいモニター |
違いのポイント
- KC-N50のフィルターは、10年交換不要で性能が高い
- KI-NS40はプラズマクラスターの性能が高い
加湿OFFのときの空気清浄スペックの比較
型番 | 空気清浄時間 | 空気清浄適用床面積 | 風量 | 電気代 | 運転音 |
---|---|---|---|---|---|
KC-40TH4 | 8畳 / 15分 | ~18畳(30m²) | 強:4.0m³/分 中:2.5m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約0.73円/h 中:約0.27円/h 静音:約0.08円/h | 強:47dB 中:36dB 静音:19dB |
KC-N50 | 8畳 / 12分 | ~23畳(38m²) | 強:5.1m³/分 中:2.8m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約1.46円/h 中:約0.35円/h 静音:約0.08円/h | 強:52dB 中:38dB 静音:20dB |
KI-NS40 | 8畳 / 15分 | ~18畳(30m²) | 強:4.0m³/分 中:2.5m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約0.89円/h 中:約0.30円/h 静音:約0.09円/h | 強:48dB 中:38dB 静音:19dB |
違いのポイント
- KC-N50の空気清浄力(適用面積・風量)が高い
- KC-40TH4とKI-NS40は同程度の性能
加湿ONのときの空気清浄スペックの比較
型番 | 【加湿時】 空気清浄時間 | 【加湿時】 空気清浄適用床面積 | 【加湿時】 加湿適用床面積 | 【加湿時】 風量 | 【加湿時】 電気代 | 【加湿時】 運転音 | 【加湿時】 加湿量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
KC-40TH4 | 8畳 / 20分 | ~13畳(21m²) | プレハブ洋室:~11畳(18m²) 木造和室:~7畳(11m²) | 強:2.7m³/分 中:2.0m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約0.32円/h 中:約0.20円/h 静音:約0.09円/h | 強:36dB 中:32dB 静音:19dB | 強:400mL/h 中:330mL/h 静音:200mL/h |
KC-N50 | 8畳 / 17分 | ~15畳(25m²) | プレハブ洋室:~14畳(23m²) 木造和室:~8.5畳(14m²) | 強:3.4m³/分 中:2.4m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約0.54円/h 中:約0.30円/h 静音:約0.10円/h | 強:42dB 中:35dB 静音:20dB | 強:500mL/h 中:400mL/h 静音:200mL/h |
KI-NS40 | 8畳 / 15分 | ~18畳(30m²) | プレハブ洋室:~12畳(20m²) 木造和室:~7畳(11m²) | 強:4.0m³/分 中:2.5m³/分 静音:1.0m³/分 | 強:約0.89円/h 中:約0.30円/h 静音:約0.09円/h | 強:48dB 中:38dB 静音:19dB | 強:420mL/h 中:280mL/h 静音:140mL/h |
違いのポイント
- 加湿ONにしたときの空気清浄力はKI-NS40が一番高い
- 加湿力自体はKC-N50の方が高い
加湿運転にすると風量が弱まる機種が多い中、「KI-NS40」は加湿OFFのときと同じ仕様で運転できるため、加湿運転をよく使う方にとっては嬉しいモデルです。
【結論】KC-40TH4はおすすめ?
以上、「KC-40TH4」の機能紹介や他機種との比較をしてきました。
他機種との比較においては、次に挙げる4つの重要な点において「KC-40TH4」以外の2機種の方が性能的に優れる結果となりました。
- プラズマクラスター
- フィルター性能
- 空気清浄力
- 加湿時のパフォーマンス
結論としては、「KC-40TH4」の性能はそれほど高くはないのですが、性能差を踏まえても、余りあるほど安い点は魅力です。
しかし、実はそれも早計で、他機種の型落ちモデルと価格を比較した場合は、価格優位のメリットも薄くなります。
確かに、発売時価格を比較すると、次のとおり「KC-40TH4」のコストパフォーマンスは相当高いです。
- KC-40TH4:約20,000円前後
- KC-N50:約43,000円前後
- KI-NS40:約50,000円前後
しかし、空気清浄機は発売後どんどん価格が下がっていき、約1年程度をかけて底値圏を目指します。
「KC-50」シリーズは1万円台後半、「KI-40」シリーズは2万円前後が底値圏なので、そこまで価格が下がるのです。
そして各シリーズの前年以前に発売された型落ちモデルの中に、今まさに底値圏を推移しているものがあります。
あくまで個人の意見ですが、「KC-40TH4」以外の機種の旧モデルがおすすめです。
選び方
- バランス・コスパ重視なら「KC-50」シリーズの型落ちモデル
- プラズマクタスターを重視するなら「KI-40」シリーズの型落ちモデル
ただし、「KC-40TH4」の安さも中々のもので、他機種の型落ちよりも安いケースも多いため、徹底的な価格重視であれば「KC-40TH4」も選択肢となるでしょう。
価格は日々変動するので、是非それぞれの価格を比較してみてくださいね。