この記事では、空気清浄、加湿、除湿と1台で3役をこなす便利な空気清浄機を比較し、おすすめモデルを紹介します。
- ノドや肌の潤い保護
- ウイルス対策
- ジメジメした夏をカラッと涼しく
- 室内干しがすぐ乾く
- カビ対策
空気清浄だけでなく、加湿や除湿を加えることで、年間を通して、快適な住環境や健康を守ってくれます。
除加湿空気清浄機は、本体サイズが大きいですが、1台3役なので個々に揃えるより結果として省スペースとなる点もメリットです。
この記事では、そんな便利な除加湿空気清浄機について、
- 各メーカーの性能比較
- 選ぶポイント
- デメリット
- おすすめランキング
という構成で、おすすめの除加湿空気清浄機を紹介します。
2023年の主な除加湿空気清浄機は4モデル
2023年現在、国内大手メーカーから発売されている除加湿空気清浄機は次の4シリーズ。
写真左から順番に、
- ダイキン:MCZ70Y
- シャープ :KC-HD70
- 日立:EP-LV1000
- シャープ:KI-ND50
という並び。
なお、2021年に発売されたダイキン「MCZ70Y」とシャープ「KI-ND50」には、次のとおり2022年に発売された後継機種が存在します。
ダイキン | シャープ | |
---|---|---|
2021年 発売モデル | MCZ70Y | KI-ND50 |
2022年 発売モデル | MCZ70Z | KI-PD50 |
変更点 2021→2022 | 電源プラグがL字に | なし |
しかし、上表のとおり大した変更点がなく、後継機種の価格がまだ高いので、ここではコスパの高い2021年モデルを紹介しています。
ということで、以上の4モデルの中からおすすめモデルを探るべく、まずは各モデルのスペックを比較してみましょう。
型番 メーカー | 外観 | 【空気清浄時】 適用床面積 | 【空気清浄時】 最大運転 | 【空気清浄時】 8畳の清浄時間 | 【除湿】 適用床面積(50/60Hz) | 【除湿時】 最大運転 | 【除湿時】 8畳の清浄時間 | 【除湿時】 方式・除湿量・タンク容量 | 【加湿】 適用床面積 | 【加湿時】 最大運転 | 【加湿時】 8畳の清浄時間 | 【加湿時】 方式・加湿量・タンク容量 | サイズ(mm) | 重さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
KC-HD70 シャープ | ~32畳(53m²) | 風量:7.0m3/分 運転音52dB | 約9分 | コンクリート~20/23畳(33/38m²) 木造~10/11畳(17/18m²) | 風量:6.5m3/分 運転音50dB | 約10分 | 方式:コンプレッサー 除湿量:8.0L/日(50Hz)、9.0L/日(60Hz) 除湿タンク:約3.0L | プレハブ~18畳(30m²) 木造~11畳(18m²) | 風量:7.0m3/分 運転音52dB | 約9分 | 方式:気化方式 加湿量:630mL/h 加湿タンク:約3.0L | 高さ687×幅405×奥行337 | 17.6kg | |
MCZ70Y ダイキン | ~32畳(~52m2) | 風量:7.2m3/分 運転音54dB | 約9分 | 鉄筋~20/23畳(~33/38m2) プレハブ~15/17畳(~25/29m2) 木造~10/11畳(~17/19m2) | 風量:4.3m3/分 運転音44dB | 約15分 | 方式:コンプレッサー 除湿量:8.0L/日(50Hz)、9.0L/日(60Hz) 除湿タンク:約3.0L | プレハブ~18畳(~29m2) 木造~11畳(~18m2) | 風量:7.2m3/分 運転音54dB | 約9分 | 方式:気化方式 加湿量:650mL/h 加湿タンク:約3.0L | 高さ690×幅415×奥行360 | 23kg | |
EP-LV1000 日立 | ~31畳(51m2) | 風量:7.2m3/分 運転音52dB | 約9分 | 鉄筋~16畳(26m2) プレハブ~12畳(20m2) 木造~8畳(13m2) | 風量:6.7m3/分 運転音51dB | 約11分 | 方式:デシカント式 除湿量:6.5L/日 除湿タンク:約3.0L | プレハブ~14畳(23m2) 木造~8.5畳(14m2) | 風量:6.7m3/分 運転音51dB | 約11分 | 方式:気化方式 加湿量:540mL/h 加湿タンク:約3.0L | 高さ648×幅398×奥行293 | 16kg | |
KI-ND50 シャープ | ~21畳(35m2) | 風量:5.1m3/分 運転音54dB | 約13分 | コンクリート~13/14畳(21/23m²) 木造~6/7畳(10/11m²) | 風量:4.5m3/分 運転音51dB | 約15分 | 方式:コンプレッサー 除湿量:5.0L/日(50Hz)、5.6L/日(60Hz) 除湿タンク:約2.0L | プレハブ~11畳(18m2) 木造~7畳(11m2) | 風量:5.1m3/分 運転音54dB | 約13分 | 方式:気化方式 加湿量:400mL/h 加湿タンク:約2.0L | 高さ656×幅350×奥行285 | 13kg |
空気清浄・加湿・除湿の1台3役モデルは、基本的に各メーカーの上位モデルとなるので、性能はどれも優秀です。
ただし、シャープ「KI-ND50」だけは例外で、ミドルクラス機種のため性能は他より弱い代わりに、低価格コンパクトを売りとしています。
選び方の4つのポイント
「選び方のポイント」として次の4点を順番に解説していきます。
- 除湿方式(電気代)で選ぶ
- フィルターの性能維持力で選ぶ
- 移動のしやすさで選ぶ
- 価格で選ぶ
除湿方式(電気代)で選ぶ
選ぶポイントの1つ目は「除湿方式」
これが電気代にも直結します。
- コンプレッサー方式(ダイキン・シャープ)
- デシカント方式(日立)
除湿の仕方は2種類あり、一長一短ですが、次のような特徴があります。
- 室温上昇が少ない
- 電気代が安い
- 寒いと除湿力が低下
- サイズが大きく重い
- 部屋の温度が上がる
- 電気代が高い
- 気温による影響なし
- 軽量コンパクト
コンプレッサー式(ダイキン・シャープ)は、使用時の室温上昇がわずかのため、梅雨の時期の湿気取りなど夏に活躍します。
ヒーターを使わないので電気代が安い点がメリットですが、気温が低い冬場は除湿力が弱まります。
一方、デシカント式(日立)は、気温により除湿力は変わりませんが、ヒーターを使うので電気代が高く、室温も上がってしまうため夏場には向きません。
しかし、冬場は室温を上げてくれ暖房の役割も果たすため、冬季の結露対策などに向いています。
電気代の目安
【コンプレッサー方式】
1時間あたり6円前後
【デシカント方式】
1時間あたり15円前後
1日5時間で30日間利用すると約1,350円の差となります。
フィルターの性能維持力で選ぶ
選ぶポイントの2つ目は、「フィルターの性能維持力」
つまり空気清浄力がどれだけ長持ちするかですが、この点ではダイキンがおすすめです。
各社のフィルター
【シャープ・日立】HEPAフィルター
【ダイキン】TAFUフィルター
HEPAフィルターとは、日本工業規格(JIS規格)の基準をクリアした高性能フィルターのことです。
ざっくり言うと「0.3μmの粒子を99.97%以上除去できるか」という基準。
0.3μmと言われてもよく分からないと思うので、参考を挙げると、スギ花粉の大きさが、20μm~40μm(0.02mm~0.04mm)くらいです。
実は、TAFUフィルターも「0.3μmの粒子を99.97%以上除去」という性能面での違いはありません。
TAFUフィルターの凄いところは、除去力が長持ちすることです。
フィルターの除去力は、使えば使うほど下がりますが、HEPAフィルターに比べ、TAFUフィルターの方が持ちがいいのです。
フィルター性能の点では、TAFUフィルターを採用しているダイキンに軍配が上がります。
動かしやすさで選ぶ
選ぶポイントの3つ目は「動かしやすさ」
除加湿空気清浄機の大きなメリットは、室内干しの洗濯物を効率よく乾かせる点です。
除湿に加え、本体から出るカラッとした風を、洗濯物に当てることで効率よく乾かすので、洗濯物に送風できる場所に配置する必要があります。
ご家庭によっては、その都度、本体を動かす必要があるので、キャスターや重さが重要になってきます。
型番 メーカー | キャスター | 重さ |
---|---|---|
KC-HD70 シャープ | 標準装備 自在移動 | 17.6kg |
MCZ70Y ダイキン | 標準装備 2つは自在移動 2つは横移動のみ | 23kg |
EP-LV1000 日立 | 標準装備 横移動のみ | 16kg |
KI-ND50 シャープ | 標準装備 横移動のみ | 13kg |
最も軽量なのは、やはり小柄なシャープ「KI-ND50」
また、その他のハイグレード3種の中では、日立「EP-LV1000」が比較的軽いです。
しかし、その両モデルのキャスターは、カニのような横移動のみ。転倒リスクには良いのでしょうが、機動力の面ではデメリットです。
その点も考慮すると、機動力では前後左右に自在にキャスターが動くシャープ「KC-HD70」がおすすめです。
価格で選ぶ
選ぶポイント、最後は「価格」
費用対効果を大事にしたい所ですが、そのために価格比較が重要です。
その際に気をつけたいのは、値段の高さ=性能の良さではないところ。
家電は、発売後、徐々に価格が安くなっていくので、発売からの経過期間で割安感が異なります。
発売時期
シャープ「KC-HD70」 2017年4月
ダイキン「MCZ70Y」 2021年10月
日立「EP-LV1000」 2015年10月
シャープ「KI-ND50」 2021年4月
他と比べてスペックの劣る「KI-ND50」が一番安いだろうと思いきや、発売から時間が経ち割引率の高い「KC-HD70」と価格差があまりない、ということもタイミング次第でありえるので要注意。
古ければ古いほど安いという訳ではない点が難しいところですが、後述のランキングでは、それぞれ発売時と比べて、どれだけ価格が安くなっているかも考慮しました。
なお、先述のとおり、ダイキン「MCZ70Y」とシャープ「KI-ND50」には後継機種が存在するので、やがて後継機種が安くなってくれば、当記事の比較対象も更新する予定です。
おすすめをランキング発表する前に、デメリットも確認しておこう!
除加湿空気清浄機のデメリット
デメリットは、なんといってもサイズ。現物は、想像以上に大きくて重いです。
キャスターが付属しているので、平行移動はできるのですが、1階~2階の上下移動は決死の覚悟が必要です。
あとは、除湿タンクの水を捨てるのが地味にめんどくさい程度でしょうか。
物や環境にもよるでしょうが、梅雨の時期は一日フルで使えばタンクがいっぱいになることも。
加湿器と空気清浄機の一体型に関するデメリットは別記事でまとめています。
除加湿空気清浄機にも通ずる点がほとんどなので良ければ参考にご覧ください。
そのほか、除湿・加湿機能が一体となった空気清浄機はスペックの高い機種が多く、個室などの狭い部屋で使用する際には、性能を持て余すという悲しいデメリットが起こり得ました。
この点、2020年4月にシャープがミドルクラス「KI-LD50」(当記事で紹介するのは後継の「KI-ND50」)を発売したことで選択肢が広がりました。
比較表とおすすめランキング
3社の公表している仕様上の数値を元にした比較表です。
型番 メーカー | 外観 | 現在の価格 | 空気清浄力 | フィルター性能の持ち | 除湿力 | 除湿時の電気代 | 加湿力 | コンパクト | 重量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
KC-HD70 シャープ | ◯ | 【通常時】◯ 【除湿時】◯ 【加湿時】◯ | △ | ◯ | ◯ | ◯ | △ | ◯ | |
MCZ70Y ダイキン | △ | 【通常時】◯ 【除湿時】△ 【加湿時】◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | |
EP-LV1000 日立 | △ | 【通常時】◯ 【除湿時】◯ 【加湿時】◯ | △ | △ | × | △ | ◯ | ◯ | |
KI-ND50 シャープ | ◯ | 【通常時】△ 【除湿時】△ 【加湿時】△ | × | △ | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
※評価は4モデルの相対比較です。
4位:日立「EP-LV1000」
第4位は、冬場に強いデシカント方式による除湿を唯一採用する日立「EP-LV1000」
発売時は約9万円でしたが、2023年の年始時点では安いもので4万円台のものを見かけます(一時は在庫がほぼなかったことも4位の一因)。
かなり古いモデルで、市場の在庫はそこまで多くない印象ですが、デシカント式を探している場合は貴重なモデルなので、価格的にありだと感じたら検討してみてください。
3位:ダイキン「MCZ70Y」
第3位は、日本が世界に誇る空調メーカ-「ダイキン」の最上位モデル「MCZ70Y」
空気清浄機はフィルターが命ですが、ダイキンは「TAFUフィルター」という、高性能かつ性能維持力に優れた独自フィルターを採用している点が魅力。
発売時には13万円以上したので、安くなってはいるのですが、ほかの製品と比較すると高価格。性能に関しては文句なしですが、価格的に優しくないので3位としました。
なお、後継機種の「MCZ70Z」では、電源プラグがL字形状になっていますが、新旧モデルの違いはそれだけで、2023年の年初時点では型落ちの当モデルの方が圧倒的に安いです。
2位:シャープ「KI-ND50」
第2位に輝いたのは、軽量コンパクトが売りのシャープ「KI-ND50」
2020年4月に登場した比較的新しいシリーズで、これまでになかったミドルクラス機種に加湿・除湿を搭載するという方向性が新しく、ユーザーの選択肢が広がった1台と言えます。
なお、当シリーズには、型落ち2020年モデル「KI-LD50」と、後継2022年モデル「KI-PD50」が存在しますが、いずれも2021年モデル「KI-ND50」との性能的な違いはありません。
新旧モデルの違いは価格面で、2023年の年初時点では「KI-ND50」が底値圏を推移しており安いのでおすすめです。
また、当記事で紹介する他機種よりスペック的には劣りますが(とはいえ個室用としては充分)、低価格でコスパが高い点を評価して2位に位置づけました。
1位:シャープ 「KC-HD70」
おすすめ第1位は、シャープの「KC-HD70」
性能、維持費、機動性、価格、どれをとっても死角なし。
総合的に一番おすすめの除湿・加湿一体型の空気清浄機です。
発売時は、約11万円弱した価格が、2023年の年初時点では安いもので4万円台とコストパフォーマンスは抜群。
古いモデルなので市場の在庫は多くはありませんが、安いものを発見できればおすすめできる機種です。
以上、除加湿空気清浄機のおすすめランキングをお届けしました。
なお、先述のとおり、ダイキン「MCZ70Y」とシャープ「KI-ND50」には、それぞれ型落ちモデルと後継モデルが存在します。
新旧モデルの違いの詳細が気になる場合は、次の新旧比較記事もご覧ください。
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