「羽のない扇風機」のフレーズでも有名なダイソンは、高機能かつスタイリッシュなデザインが人気のイギリス発祥メーカー。
ダイソン空気清浄機には様々なシリーズが存在し、ニーズに合わせた選択が可能な反面、初見では各モデルの違いがわかりにくく、どれを選べばいいか迷うことも。
そこで当記事では、各家庭に適したモデルを選べるよう、次の5ステップでダイソンの空気清浄機について解説します。
ダイソン空気清浄機の特徴
ダイソン空気清浄機の主な特徴は次の3点です。
多様なシリーズ展開
ダイソンの空気清浄機は、保有する機能に応じて次のようなシリーズに区分されています。
シリーズ名 | 空気清浄機 | 扇風機 | ヒーター | 加湿器 | ホルムアルデヒド分解 |
---|---|---|---|---|---|
Purifier Hot Cool Formaldehyde | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
Purifier Hot Cool | ○ | ○ | ○ | × | × |
Purifier Cool | ○ | ○ | × | × | × |
Pure Cool Me(小型) | ○ | ○ | × | × | × |
Purifier Humidify+Cool | ○ | ○ | × | ○ | × |
Purifier Humidify Cool Formaldehyde | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
上表のとおり、空気清浄機能のほか1台で多彩な役割を果たすマルチ機能がダイソンの特徴。
各シリーズごとに機能が異なるため、自分に必要な機能を選べるのが大きな魅力です。
なお「Purifier」は空気清浄機能を表しますが、古いモデルでは「Pure」と表現されます。
例えば、2021年に発売された「HP07」は「Purifier Hot Cool」、一方、型落ちとなる「HP04」では「Pure Hot Cool」というシリーズ名ですが、両方とも「空気清浄機×扇風機×ヒーター」モデルです。
欧州規格フィルター&高い密閉性
ダイソンの空気清浄機は「HEPAフィルター」を採用しています。
HEPAフィルターとは?
0.3μm(0.0003mm)以上の粒子を捕集できるJIS規格を満たすフィルター。
参考:スギ花粉=30μm、PM2.5=2.5μm、細菌=1μm程度。
ただし、国内大手メーカーの空気清浄機の多くも、上記のJIS規格を満たすHEPAフィルターを搭載しています。
ダイソンのフィルターが優秀なのは、JIS規格(日本の規格)を満たすだけでなく、より厳しい欧州規格(H13規格)も満たしている点。
具体的には、空気中の0.1μm以上の粒子を捕集できる性能を持っています。
加えて、空気清浄機本体の密閉性の高さもダイソンの特徴のひとつ。
空気清浄機は吸引した空気中の微粒子をフィルターで濾過する仕組みなので、フィルター性能が最重要ですが、吸引した空気をフィルターに通せるか(抜ける空気がないか)も大事です。
この点、ダイソンは本体の密閉性にこだわり、空気清浄機に取り込んだ0.1μmの粒子を本体に99.95%閉じ込める品質で設計されており、より本質的な集塵性が考慮されています。
スタイリッシュかつ省スペースなデザイン
ダイソン空気清浄機の特徴と言えば、スタイリッシュなデザイン性も外せません。
独創的な外観ながらも、細身で接地面積が小さいため意外と部屋に馴染むのもポイントです。
主張が強いイメージがありましたが、「羽がない=家電の奥が見通せる」ので、視野に占める家電の割合が低くなり、圧が薄まることが部屋と調和しやすい一因かと。
サイズ感や接地面積の参考となるよう、ダイソンの主な機種と他メーカーの細身のものを比較してみました。
型番 (シリーズ名) | メーカー | サイズ (幅×奥行×高さ) | 設置面積 |
---|---|---|---|
HP09 (Purifier Hot Cool Formaldehyde) | ダイソン | 24.8×24.8×76.4cm | 約615cm2 |
HP07 (Purifier Hot Cool) | ダイソン | 24.8×24.8×76.4cm | 約615cm2 |
TP07 (Purifier Cool) | ダイソン | 22×22×105cm | 約484cm2 |
PH03 (Purifier Humidify+Cool) | ダイソン | 31.2×31.2×92.3cm | 約973cm2 |
KI-PS40 (スリム&コンパクトモデル|加湿あり) | シャープ | 28×26×62.2cm | 約728cm2 |
MCK55Y (スリムタワーモデル|加湿あり) | ダイキン | 27×27×70cm | 約729cm2 |
スペックが異なり一概に比較できるものでもありませんが、ダイソンは全体的に他メーカーのスリムタイプと比べても遜色のない省スペース性を持っています。
ダイソンと他メーカーとの違い
代表的な他メーカーとの違いを簡単にまとめたのが次表です。
メーカー | 特徴 | デザイン性 | 主な消耗品のランニングコスト | イオン技術 | 吸引口 |
---|---|---|---|---|---|
ダイソン | 多機能 フィルター性能が高い 独創的なデザイン | スリムな円柱型 | フィルター:税込7,700円(年1回推奨) | なし | 360° |
シャープ | プラズマクラスター 種類が多い 型落ち在庫が豊富で安い | 機種で異なる多様なデザイン | Ag⁺イオンカートリッジ:税込990円(毎年) 上位機種はプラズマクラスター発生ユニット:税込7,700円(2年毎) | 外部にイオン放出(プラズマクラスター) | 背面吸引 |
パナソニック | ナノイー 多彩な気流で効率集じん 珍しい木目調デザインあり | ボックス型で全体的に薄め | なし | 外部にイオン放出(ナノイー) | フロント&両サイド吸引 |
ダイキン | ストリーマ 定評のある技術力 性能が落ちにくいTAFUフィルター | ボックス型 | なし | 本体内部で強力分解(ストリーマ) 外部にイオン放出(アクティブイオン) | フロント&両サイド吸引 |
他メーカーも気になり、横断的に特徴・ラインナップ・個別モデルのスペック比較などを行いたい場合は、おすすめ空気清浄機のまとめ記事を確認してみてください。
このなかでも、ダイソンと国内大手メーカーの重要な違いとして知っておくべきは、フィルター交換に対する考え方です。
ダイソンをはじめとする国外メーカーの多くは、1~2年程度でのフィルター交換を前提としているのが一般的。
一方、国内大手メーカーの多くの機種は「フィルター交換10年不要」を推していることが多いです。
ただし「10年交換不要」とは、フィルター性能が半分になるまで10年かかるというもので、使用頻度に応じてフィルター性能が落ちていくのは同じです。
フィルター交換頻度に対する考え方は次のとおり一長一短で、どちらの考え方が正しいという話ではないので、考え方の違いを把握して選ぶことが重要です。
フィルター 交換頻度 | メリット | デメリット |
---|---|---|
高頻度 (ダイソン) | 清浄力維持 | ランニングコスト |
低頻度 (国内メーカー) | 経済的 | 清浄力低下 |
そのほか、フィルターを長く使うモデルのなかには、フィルターを掃除機で吸うなどのメンテナンスが発生するものも。
その点、高頻度の交換を前提に「フィルターメンテナンス不要」を謳うダイソンは、メンテナンスの手間を減らしたい方にも適しています。
ダイソン空気清浄機の選び方
ダイソンの空気清浄機を選ぶ際には、次の2つの基準で絞っていくのがおすすめです。
- シリーズ(保有機能)で選ぶ
- 型落ちとも比較
まずは必要な機能でシリーズを選定したうえで、型落ちも検討してみると万全です。
古いモデルはそもそも在庫がない可能性がありますが、タイミングや機種によっては機能差があまりない型落ちが低価格で手に入る可能性も。
シリーズ名 | 機能 | 現行モデル (発売年) | 型落ちモデル (発売年) | 関連記事 |
---|---|---|---|---|
Purifier Hot Cool Formaldehyde | 空気清浄機 扇風機 ヒーター ホルムアルデヒド分解 | HP09(2022年) | - | HP09とHP07の違い(シリーズ比較) |
Purifier Hot Cool | 空気清浄機 扇風機 ヒーター | HP07(2021年) | HP04(2018年) HP03(2017年) HP00(2017年) | HP07とHP04の違い(新旧比較) HP04とHP03の違い(新旧比較) HP03とHP00の違い(類似比較) |
Purifier Cool | 空気清浄機 扇風機 | TP07(2021年) TP7A(2022年) | TP04(2018年) TP03(2017年) TP00(2017年) | TP07とTP7Aの違い(類似比較) TP07とTP04の違い(新旧比較) TP07のレビュー |
Pure Cool Me(小型) | 空気清浄機 扇風機 | BP01(2019年) | - | - |
Purifier Humidify+Cool | 空気清浄機 扇風機 加湿器 | PH03(2021年) | PH01(2019年) | - |
Purifier Humidify Cool Formaldehyde | 空気清浄機 扇風機 加湿器 ホルムアルデヒド分解 | PH04(2021年) | - | - |
※公式HPに掲載のあるシリーズの最新モデルを現行として記載
一覧表でスペックを比較
現行モデルのスペック詳細を一覧表にまとめました。
現行モデル (発売年) | シリーズ | フィルター | 空気清浄力 (30分での清浄範囲目安) | 運転音 (最小/最大) | 暖房適用床面積の目安 (断熱材有無等で幅あり) | 加湿力 | 加湿適用床面積の目安 (住宅の材質で幅あり) | 首振り角度 | 上下角度調整 | LCDディスプレイ | ディフューズモード | ナイトモード | Dyson Linkアプリ | HEPAフィルター交換推奨 (1日12時間使用の場合) | サイズ (高さ×幅×奥行) | 重さ | コードの長さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HP09 (2022年) | Purifier Hot Cool Formaldehyde (空気清浄×扇風機×ヒーター×ホルムアルデヒド除去) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 9畳 | 空気清浄モード 23.5dB/48.9dB 温風モード 34.4dB/44.2dB | コンクリート住宅:5~10畳 木造住宅:4~6畳 | - | - | 350° | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 約1年 | 764×248×248mm | 5.75kg | 1.8m |
HP07 (2021年) | Purifier Hot Cool (空気清浄×扇風機×ヒーター) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 9畳 | 涼風モード 23.8dB/48.6dB 温風モード 30.4dB/40.8dB | コンクリート住宅:5~10畳 木造住宅:4~6畳 | - | - | 350° | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 約1年 | 764×248×248mm | 5.69kg | 1.8m |
TP07 (2021年) | Purifier Cool (空気清浄×扇風機) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 12畳 | 26.3dB/47.0dB | - | - | - | 350° | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 約1年 | 1050×220×220mm | 4.99kg | 1.8m |
TP7A (2022年) | Purifier Cool (空気清浄×扇風機) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 12畳 | 26.3dB/47.0dB | - | - | - | 350° | × | ○ | ○ | ○ | × | 約1年 | 1050×220×220mm | 4.99kg | 1.8m |
BP01 (2019年) | Pure Cool Me (空気清浄×扇風機:小型) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 7畳 | 20.5dB/47.2dB | - | - | - | 70° | ○ | ○ | × | ○ | × | 約1年 | 401×245×245mm | 2.8kg | 1.8m |
PH03 (2021年) | Purifier Humidify+Cool (空気清浄×加湿器) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 12畳 | 空気清浄モード 24.3dB/47.9dB 加湿モード 24.4dB/47.8dB | - | 350mL/h | 6~10畳 | 90° | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 約1年 | 923×312×312mm | 8.05kg | 1.8m |
PH04 (2021年) | Purifier Humidify Cool Formaldehyde (空気清浄×加湿器×ホルムアルデヒド除去) | HEPAフィルター (PM0.1を99.95%除去) | 12畳 | 空気清浄モード 24.4dB/48.2dB 加湿モード 24.2dB/48.1dB | - | 350mL/h | 6~10畳 | 90° | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 約1年 | 923×312×312mm | 8.21kg | 1.8m |
なお、上表に出てくる各機能の概要は次のとおり。
- LCDディスプレイ(空気質がわかる本体のディスプレイ)
- ディフューズモード(風を後方に放出)
- ナイトモード(静音運転&減光)
- Dyson Linkアプリ(スマホアプリと連携して遠隔操作や空気質の確認が可能)
型落ちモデルのなかには本体にディスプレイのないモデルもありますが、現行モデルは全て本体にLCDディスプレイを搭載しています。
LCDディスプレイでは「温度・湿度・空気の汚れ具合・フィルター交換時期」などを確認できます。
そのほか「ディフューズモード」は風を後方に吐き出すモードですが、これは冬場に役立つ機能。
空気清浄の際には必ず本体から風が出ますが、前方に放出すると風が直接あたって寒いので、当モードを使用することで寒い時期でも快適に使用できます。
ダイソン空気清浄機のおすすめモデル
以下のとおり用途に応じて、2つのおすすめモデルを選出しました。
- 通年で使いたい → HP07 or HP03(Purifier Hot Cool)
- 夏場の送風をメインに使いたい → TP7A(Purifier Cool)
加湿機能搭載モデルも掲載するか迷いましたが、「PH03」「PH04」はかなり高額(2022年10月の公式価格10万円前後)なうえに、加湿能力(350mL/h)は正直そこまで高くありません。
機能が1台にまとまっている利点はありつつも、別で加湿器を用意するほうがコスパが高いと感じたため、当記事のおすすめからは除外しました。
また、2022年10月に登場した新シリーズ「HP09(空気清浄×ヒーター×扇風機×ホルムアルデヒド除去)」は、シックハウス症候群が気になる方、小さな子供やペットがいる家庭では選択肢となります。
ただし、価格が高額(2022年10月の公式価格10万円前後)なことを理由に当記事からは除外しています。
気になる方は、HP09とHP07の比較記事から詳細をご覧ください。
HP07 or HP03(Purifier Hot Cool)
「空気清浄機×扇風機×ヒーター」の1台3役が売りで、どんな季節でも活躍する万能タイプ。
用途が多いので、どれがいいか迷って決めきれない方にもおすすめです。
最新モデル「HP07」は、新型コロナの影響による部品不足で、公式ストアでは長期欠品中でしたが、2022年9月下旬からは販売復活しているようです。
型落ちモデルが安くなっていることがあるので、価格重視の方は型落ち狙いもありでしょう。
型番 (発売年) | シルエット | 気密性 | LCDディスプレイ | ディフューズドモード | Dyson Linkアプリ | ナイトモード | オートモード |
---|---|---|---|---|---|---|---|
HP07 (2021年) | Iライン | 従来より向上 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
HP04 (2018年) | Iライン | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
HP03 (2017年) | Aライン | - | × | × | ○ | ○ | ○ |
HP00 (2017年) | Aライン | - | × | × | × | × | × |
ただし「HP04」は市場に在庫があまりない印象で、中古品や高価格のものを多く見かけます。
また、2022年秋の時点で「HP00」は、「HP03」と価格差がほぼないにも関わらず機能的には劣ります。
- 機能重視 → HP07
- 価格重視 → HP03
なお「HP07」「HP04」はIライン、「HP03」「HP00」はAラインの外観となっています。
ダイソンの家電はデザイン性が売りのひとつでもあるので、本体フォルムを意識して選ぶのもおすすめです。
最新モデル「HP07」
型落ち「HP03」
TP7A(Purifier Cool)
「Purifier Cool」シリーズは、「夏場にエアコン以外で涼を取りたいけど扇風機に羽があると困る」という方におすすめ。
例えば、小さな子供やペットの羽への巻き込み事故などが心配な方に適しています。
ちなみに、ペットを飼っている場合はコードを噛じらないかも心配ですが、コード経は約7mmと太めなおかげか、うちの猫はスルーでした。
「Purifier Cool」シリーズの現行モデルには、「TP7A」と「TP07」の2種類が存在しますが両者の違いは次の2点。
- 専用アプリ(Dyson Link)機能の有無
- 音声コントロールの有無
個人的には、機能差を踏まえると価格重視でよいのかなと思っており、より安い「TP7A」の方をおすすめモデルとして当記事に掲載しました。
両モデルの比較は次の関連記事で詳しく紹介しています。
-
【TP7AとTP07の違い】ダイソン空気清浄機能付扇風機を比較
続きを見る
また、当シリーズが気になる方は「TP07」のレビュー記事も参考にご覧くださいね。
基本性能は同じなので、「TP7A」の参考にもなります。
-
【ダイソンTP07レビュー】2in1モデル(空気清浄機×扇風機)の実力は?
続きを見る
以上、ダイソンの空気清浄機について紹介しました。